今日は3月11日。言うまでもなく、3年前に東日本大震災があった日です。もう3年も経ったのか、という思いと、まだ3年しか経っていないのに、という思いがないまぜになり、複雑な気持ちです。
この日が来るたびに私自身の心に浮かぶのは、3年前の出来事ではなく、実はそのもっと前、今から17年前のことです。
東北地方における大きな地震と津波は、歴史上何度も繰り返されている自然災害であり、私たちはそれを運命と受け止め、乗り越えていくほかありません。しかし、3年前には自然災害とは別の次元で引き起こされた、もう一つの未曾有の災害がありました。そう、3年後の今も汚染水漏れなど深刻な事故が続き、地域の復興に大きな影を落としている、東京電力福島第一原子力発電所の事故です。
今から17年前、私はビジネス雑誌の記者としてエネルギー業界担当を任されることになりました。そう、電力・ガスの取材をしてこい、と言われたわけです。
業界担当を命ぜられた記者としてまずしなければならないことは、その業界の「顔役」の企業の広報担当と、顔つなぎをすることです。電力・ガス業界においては、それは東京電力と東京ガスの2社でした。私はさっそく各社の広報にアポを入れ、内幸町と芝浦にあるそれぞれの本社を訪れました。
東京電力の広報に原発の話をした途端……
私はそれ以前から個人的にNGO・NPOの分野でさまざまな団体や個人への取材活動をしており、日本の反原発運動の象徴的な存在とされていた故・高木仁三郎氏が代表を務める「原子力資料情報室」や、そのつながりでプルトニウムの輸送に関する危険性を訴える市民団体などの取材もしたことがありました。
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