【書籍化のお知らせ】
本連載は「20歳のときに知っておきたかった「雄っぱい」のこと」とあわせて大幅加筆・修正を加え、『オトコのカラダはキモチいい』として書籍化されています。新宿二丁目でナンパしたヤリチンのゲイ男性を交えて熱く語り下ろした新たな「第三章」を収録し、雲田はるこさんの美麗イラストで彩った完全版をどうぞご覧ください!
※本連載には、刺激的な内容・画像などがふくまれています。職場や公共の空間での閲覧にはご注意ください。
もっと男があえいだっていいじゃない!
岡田 女体が大好きな二村さんが、いつの間にか男性の身体を開発するAVを撮りはじめたのは、どういう経緯だったんでしょうか。もともと、痴女モノのような「女性が強い」「女が従順に犯されるのではなく、女が男を犯す」AVを最初に撮ったのも、二村さんだったと聞いていますが。
二村 「最初に」ってことはないですが、たとえば「女性が男の乳首をなめる」という行為が一般の男女に浸透したのは僕の作品の影響ではないかと考えています。本当にAV監督って、一国の国民の性の意識を変えることができる職業なんだと実感しましたね。
岡田 乳首を責められてハァハァ感じてる世の男性は、みんな二村さんに感謝した方がいいですね! 今、女性たちが諸君の乳首をなめてくれるのは二村さんのおかげですよ。
金田 啓蒙者ですよ!
二村 どうもどうも……。それでね、男性向けのAVって、基本的に男優はあえいじゃいけないんですよ。
岡田 観ている男性がオナニーするときに邪魔だからですか?
二村 そうそう。男優の存在を観ている人に意識させてはいけない。「男優はオチンチンだけ立てとけ」という世界なんです。僕もそういう作品を十数年作ってきたわけですけれども、しだいに「もっと男があえいだっていいじゃないか!」と思うようになったんです。
金田 新境地ですね!
岡田 「女が男から一方的に陵辱される」とか、「犯す男が見えなくて、犯される女だけが映っている」とか、そういうAVのお約束とは違った、新しい関係性を描きたいということですね。
二村 ようするに僕、男だか女だかワケわかんなくなっちゃう世界が好きなんですよ。それで、男が女のように“感じる”ことができる「痴女モノ」、男性に対する媚びを一切なくして、女同士で純粋に“愛し合う”ことができる「レズ」を撮るようになった。さらに男の中の女性性を引っぱり出すというか撮影の一日だけ性転換させる「女装男子」も。
ちなみに「ニューハーフもの」にはあまり興味がありません。同じじゃねえかと言う人もいますが、僕にしてみると「ニューハーフさんというのは、かえって女性性が強固」なような気がするんです。そして最近になって集大成というか、痴女の極端な形として、男性が女性におしりを開発されることによって“女性化”させられていくという作品を撮影するようになりました。
岡田 なるほど。女が男にアナルを責められるAVは、SM的文脈というか、ある特定の嗜好を持った人たち向けに作られたものが多い印象です。でも、二村さんが撮る、男が女にアナルを責められるAVには、「ゲイだけじゃない、マゾだけじゃない、すべての男が、もっと快楽を解放させていいのよ」というメッセージが込められている、というわけですね。
金田 私、「痴女モノ」というのは、女性が性に積極的、という部分がポイントなのかな?って勘違いしてました。そうではなく、女性が積極的なおかげで、男性が快楽に乱れることができるようになったという部分がポイントなんですね!! いやー勉強になるなあ。
二村 いろいろな観方があるとは思いますけどね。ぜひ金田さんにも観てほしいです!
ファンタジーに走るか? リアリティーを追求するか?
岡田 おふたりの自己紹介、“穴”とのなれそめを知ったところで、「やおい穴」の話に戻りましょうか。先ほど「やおい穴派閥関係図」をお見せしましたが、イベント参加者の皆さんにも、事前に「あなたは何派?」と質問しておきました。本日は100名近くご来場いただいていますが、有効回答数は50くらい。ざっと振り分けてみると、こんな感じです。
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