ポル・ポト(民主カンプチア首相)【第3回】つかの間の独立に刺激されて

悪の親玉としてイメージされがちな「独裁者」たち。この連載では、世界の独裁者たちが、若い頃にどのような知識や価値観、思想などの「教養」を得て、それをどう国家支配に反映させたのかを読み解いてゆきます。特別に優秀な人材というわけではなかったポル・ポトが独裁者となるまでには、第二次世界大戦中にカンボジア一時独立という画期的な出来事がありました。(『独裁者の教養』より)

1943年、ポル・ポトはプノンペンの名門・シソワット高級中学の受験に失敗。その後に同校になんとか編入したものの、進級試験に落第して木工作業の専門学校に進んだ。

宗主国のフランスが教育水準の引き上げに無関心だったため、当時のカンボジアでポル・ポトと同水準の学歴を持つ人間は数千人しかいなかった。だが、学業の機会を得られたのは王室との関係が深かったためで、彼が特別に優秀な人材だったからではなかった。

この中学時代、ポル・ポトは第二次世界大戦を経験する。戦争は彼自身の生活にそれほど大きな影響を及ぼさなかったが、1945年春に日本が一時的にカンボジアを「独立」させた際、黄色人種の日本人が従来の支配者だったフランス人たちを逮捕・拘束したことは、多くのカンボジア人に衝撃を与えた。日本の場当たり的な政策の結果とはいえ、カンボジアが仮にも独立を経験したことで、ナショナリズムを刺激された人も多かった。

思春期のポル・ポトも、その一人であった。

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独裁者の教養

安田峰俊

悪の親玉としてイメージされがちな「独裁者」たち。しかし、彼らは優れていたからこそ「独裁」を行えたはずです。そこで、この連載では、世界を代表する独裁者たちが、若い頃にどのような知識や価値観、思想などの「教養」を得て、それをどう国家支配に...もっと読む

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