仲暁子 vol.1 人生一度きり。無駄にしてる時間はない。

ファンドマネージャーの藤野英人さんが、イケてる日本の経営者にインタビューする対談シリーズ。今回のゲストは、Facebookでつながるシゴト充実化サービス「Wantedly(ウォンテッドリー)」を運営するウォンテッドリー株式会社CEOの仲暁子さんです。京都大学を卒業後、ゴールドマン・サックス勤務、マンガ家修行、Facebook Japan初期メンバーに参画、という異色の経歴を経て、現在の仕事にたどり着いた仲さん。まずは、一風変わった家庭環境のお話から。

仕事に没頭する研究者夫婦のもとで育った

藤野 さっそくですが、まずは仲さんの育った環境からうかがっていこうと思います。ご両親は何をされてるんですか?

 うちの親は、両方とも大学の研究者です。母は心理学、父はバイオインフォマティクス(生物情報科学)を専攻しています。



藤野 どちらの領域もおもしろそうですね。

 そうですね。母は記憶に関する研究をしていて、「記憶は変わらないものだと思われているけれど、実は変わる」という話をしてくれたことがあります。実社会への応用として、事件の目撃証言の信ぴょう性を定量的に証明する、というようなことをしているようです。

藤野 ある会社の監査役に、東京地検特捜部の部長だった方がいて、その方が取締役会で「記憶は揺れるし、真実は変わるものだ」とおっしゃっていました。やはりそうなんですね。

 そうみたいです。その研究に関連して子どものころ、アウシュビッツ強制収容所に連れて行ってもらったことがあります。あそこって、14歳以上が望ましいという入場制限があるんですよね。刺激が強すぎるから。行ったのは、小学校4、5年のころだったと記憶していますが、けっこう強烈な体験でした。

藤野 それは貴重な経験ですね。

 あと、2人が研究者だったからか、昔からパソコンが家にありましたね。それこそApple Iから始まって、歴代のMacが家の中にゴロゴロありました。そういう環境は、今の仕事にもつながっているかもしれません。

藤野 2人の研究内容について、自分も勉強してみたことなどはあるんですか?

 特にないですね。でも、保育園のころから、母の研究室で遊んだり、学生さんと交流したりしていたので、研究室の環境には親しんでいました。大学のすぐ横に家があったこともあり、そのときは家にも学生さんがよく来ていましたね。

藤野 じゃあ、働いているお母さんの様子はよく見ていた。

 働くという構えた感じでもなく、すごく楽しそうなことをやっているなと思っていました。大学を卒業してから1年くらい、北海道に赴任していた母のもとに居候してたことがあるんです。そうしたら彼女、朝4時とかまで机に向かっているんですよ。もうそのとき55歳くらいだったのに。本当に仕事が好きなんだと思います。

藤野 そのお母さんの影響は大きそうですね。僕、昨年の12月に東京証券取引所の大納会で、中学・高校の先生向けのセミナーをしたんですよ。社会、家庭科の先生向けに経済と投資について教えるという内容です。その事後アンケートを見たら、100名中90名が「いままで労働は苦しいこと、会社や株式市場は悪だと思っていたけれど、それが偏見であることがわかった」「会社というのは楽しい・明るい場所にもなりうるとわかって目からウロコだった」という内容だったんです。

 えー、そんなふうに思ってる方が多いんですか。

藤野 半ば予想通りだったんですけどね。僕は明治大学で授業を持っているので、学校現場で会社や株式市場といったものがどう見られているのか、わかっていましたから。やはり明治大学の学生さんも、企業というものに対してすごく悪いイメージを持っているんです。それはなぜかというと、そもそも働くことがつらいことだと考えているからなんですね。だから、仲さんは家庭環境からしてそうではなかったということがわかり、納得しました。

「人と違うこと」に耐性がついた小学校時代

 そうですね。両親ともけっこう非常識というか(笑)、長いものに巻かれるやつはいけてない、みたいな価値観の家で育ちました。周りと違うエピソード、たくさんありますよ。小学校に入学した時も、クラスで私だけランドセルじゃなくて、普通のリュック。プールの授業でも、みんな、ゴムが入って輪になっている、てるてる坊主みたいなかわいいタオルを使ってたけど、私は適当にタオルを3枚くらい縫い合わせた「みのむし」みたいなのを持って行かされました(笑)。

藤野 わざわざ専用のものを買う必要はない、という方針だったんですね。

 母はやたら自然素材にこだわっていて、お弁当も玄米や黒糖を使ってて全体的に茶色かったし、洗剤もエコなやつだから洗浄力がなくて全然落ちない。1人だけ茶ばんだ体操服を着てて、それが、すごく嫌だったなあ。

藤野 人と違ってもいいじゃない、という家庭だった。

 そういうの、気にしない親だったんですよね。私は小学校2年生くらいまでは、すごく気になって恥ずかしかったけど、3年生くらいからはもう気にならなくなりました。そのころから、変わっていることに対する耐性がついたんです(笑)。

藤野 高校時代に真剣に取り組んでいたものとかありますか?

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イケてる経営者が日本を救う

藤野英人

日本株ファンドの「ひふみ投信」で抜群の成績を残しているファンドマネージャー藤野英人氏がイケてる日本企業の経営者にインタビューし、投資家の目線で成長の秘密をひもといていく対談連載。50歳未満の「アニキ編」と50歳以上の「オヤジ編」の2編...もっと読む

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コメント

fatum_k https://t.co/E4KVj3iBhb 約2ヶ月前 replyretweetfavorite

fukuiretu cakesにWantedlyの仲さん出てる https://t.co/bBOZElcnh8 約1年前 replyretweetfavorite

junzo_k Wantedlyの仲さんのケイクス記事を今更一気読み。ビジョン&カルチャーを大事にする経営者、素晴らしい。> 3年以上前 replyretweetfavorite

Secori 藤野英人さん、仲さん I 人生一度きり。無駄にしてる時間はない https://t.co/LEP7Xa5Cik 約4年前 replyretweetfavorite