ポル・ポト(民主カンプチア首相)【第2回】「良い子」がつくった虐殺国家

悪の親玉としてイメージされがちな「独裁者」たち。この連載では、世界の独裁者たちが、若い頃にどのような知識や価値観、思想などの「教養」を得て、それをどう国家支配に反映させたのかを読み解いてゆきます。小国カンボジアを悪い意味で歴史の主人公にしてしまった、ポル・ポト。稀代の悪人と思える彼の人格は、むしろ「良い子」と言えるものでした。(『独裁者の教養』より)

だが、やがてカンボジアは突如として世界の耳目を集める。
騒動の中心にいた男は、こんなスローガンを好んだ。
「全世界がわれわれを賞賛し、賛美の歌を歌い、われわれから学ぶのだ!」

1975年の4月、彼が率いたクメール・ルージュは、親米反共政権として悪評紛々だったロン・ノル政権を打倒。5年間続いたカンボジア内戦に一旦の区切りをつけた。
当時はベトナム戦争の終結が秒読みの段階で、共産主義への評価が再度高まりかけた時期である。反米・反植民地を掲げた「革命」の成功に、日本を含めた各国の左派勢力は快哉を叫んだ。また、革命軍は名目的な元首に前国王のシハヌークを戴く民族統一戦線の体裁をとっていたため、左派のみならず世界の世論はおおむね好意的だった。

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独裁者の教養

安田峰俊

悪の親玉としてイメージされがちな「独裁者」たち。しかし、彼らは優れていたからこそ「独裁」を行えたはずです。そこで、この連載では、世界を代表する独裁者たちが、若い頃にどのような知識や価値観、思想などの「教養」を得て、それをどう国家支配に...もっと読む

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