漫画『賭博黙示録 カイジ』とは?
自堕落な日々を過ごす主人公、伊藤開司(いとう・かいじ)。そのカイジが多額の借金を抱えたことをきっかけに「帝愛グループ」をはじめとする黒幕との戦いに挑んでいく大人気漫画。命がけのギャンブルを通じて、勝負師としての才能を発揮するカイジだが、その運命は果たして・・・。
(作者:福本伸行講談社『週刊ヤングマガジン』で1996年11月号~1999年36号まで連載された作品
過労による自殺や精神的な病気、ブラック企業のニュースが出ると、必ず、その「対局」という扱いで、ワークライフ・バランスが取り上げられます。たしかに、嫌な仕事ばかりの人生は意味がないかもしれません。そのため、やりたいことと私生活を充実させるワークライフ・バランスという考え方は選択肢として持っておくべきだと思います。
しかしそれは、「仕事が"そこそこ"でいい」ということではありません。特に、まだ社会人になったばかりの若者が、ワークライフ・バランスを実現すべく理想の職場を求めて転々とするのは問題だと思っています。
もちろん、ブラック企業と言うしかない職場があるのは事実ですし、そんな仕事のために、自分の健康や命を犠牲にしてはいけないと思います。けれど、本当に幸せな働き方というものを考えるために、あえて言いたいのですが、実力もつかないうちから「わたしはプライベートを大事にしますので」といって仕事を早々に切り上げるようでは、一生実力は上がらず、一生やりたい仕事ができるようにはならないのです。
現在一流と言われている人、活躍して自分の道を進んでいる人が、若い時に「ワークライフ・バランス」を考えていたでしょうか。 自分はプライベートも充実させたいから、といって仕事を早々に切り上げていたと思いますか?
そんなことは、まずありません。その場所に至るまでは、がむしゃらに働き、がむしゃらに努力していたはずです。だからこそ、充実した「今」があるのです。
ワークライフ・バランスのジレンマ
ある先輩経営者が「ワークライフ・バランスは、生涯で達成するべき」ということをおっしゃっていました。つまり、仕事に打ち込むべき時期と、生活を楽しむ時期とを分けて、トータルの人生で「ワークライフ・バランス」をとるべきということです。まさにその通りだと思います。
そもそも、ワークライフ・バランスを取りたいと考えるのは、「ライフ」を充実させたい、もっと人間として幸せに生きたいという願望からですよね。つまり、「(仕事もしなければいけないけど)生活を楽しみたい、やりたいことをしたい」ということです。
しかし、ここにジレンマがあります。プライベートを充実させるためには、通常、ある程度のお金が必要です。そして、プライベートを楽しむための時間を確保するためには、ある程度短時間でお金を稼ぐ力が求められます。
お金がなければ、プライベートを充実させようにも限度があります。十分にお金を稼ぐ力がなけれれば、生活費を捻出するだけで精一杯になってしまい、生活を楽しむ余裕などなくなってしまいます。
したがって、プライベートを充実させるためのお金と稼ぐ力を得るためには、働かなければいけないのです。資本主義経済では、簡単に大金を稼ぐことはできません。お客さんに価値を認めてもらって、ようやくお金をもらえるのです。
また、短い時間でお金を稼ぐ力を身につけるのは、もっと大変です。すぐにできることではなく、長い間経験を蓄積し、他人よりも大きな価値を発揮できるようになって、ようやく「短時間で稼げる力」が身につくのです。
つまり、一生懸命に働いてお金と稼ぐ力を自分の中に溜めなければいけないのです。
効率は徐々によくなる
ワークライフ・バランスの目的は、"ライフ"に割く時間を増やし、充実させること。しかし、そうするためには、一生懸命に働いてお金と稼ぐ力を確保しなければいけない。これがワークライフ・バランス最大のジレンマです。
毎日毎日「バランス」を取ろうとすると、どうしても仕事をする時間が短くなります。そして、どうしても仕事に打ち込めなくなります。自分としては打ち込んでいるつもりでも、時間が短ければそれだけできることが少なくなります。
同じ時間を費やす場合でも、連続した時間を確保するのか、細切れなのかによって出せる成果には大きな差が出ます。細切れの時間だとなかなかノッてきません。
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