カイジ「勝つべくして勝つ!」働き方の話 【第2回】今日をがんばった者にのみ、明日が来る

大人気マンガ『カイジ』をもとに、お金の知識を解説した『カイジ「命より重い!」お金の話』の続編となる『カイジ「勝つべくして勝つ!」働き方の話』を上梓した木暮太一さん。この連載では、逆境に立ち向かい、挑戦し、生き抜いていくカイジに生き様にスポットをあて、強く生きるためのヒントを紹介していきます。

漫画『賭博黙示録 カイジ』とは?

自堕落な日々を過ごす主人公、伊藤開司(いとう・かいじ)。そのカイジが多額の借金を抱えたことをきっかけに「帝愛グループ」をはじめとする黒幕との戦いに挑んでいく大人気漫画。命がけのギャンブルを通じて、勝負師としての才能を発揮するカイジだが、その運命は果たして・・・。

(作者:福本伸行講談社『週刊ヤングマガジン』で1996年11月号~1999年36号まで連載された作品

「いつかやろう」
「明日にしよう」
「やらなきゃいけないのは、わかってるよ」

その言葉をこれまでの人生の中で、何回言ったでしょうか? 「"明日やろう"はバカ野郎」というフレーズがあります。

「明日やろう」と言っている人は、そのまま一生やらない可能性が高いです。というのは、明日はどんどん先に逃げていくからです。日付が変わると、「明日」になります。しかし物理的に、ぼくたちが存在しているのは今しかありません。またその次の日が「明日」になります。「明日」という日はじつは永遠に来ないのです。

「いつかやろう」と思っているのは本当かもしれません。しかしその言葉は裏を返すと、「今はやらなくていい。また後で」ということです。そうして、後回しにしていくため、その"いつか"はおそらく永遠にやってきません。結局のところ、行動するのは今日しかないのです。

『カイジ』の中では、あのズル賢い班長・大槻がこう言っています。

「明日からがんばろう」という発想からは・・・どんな芽も吹きはしない・・・! 明日からがんばるんじゃない・・・今日・・・今日だけがんばるんだっ・・・!

"今日"だけがんばるということは、結果的に毎日頑張るということです。"明日"が永遠に訪れないのと同じように、"今日"は永遠に続くのです。そして昨日もがんばったことは敢えて忘れて、また"今日だけ"をがんばる。

「明日からがんばろう」と「今日からがんばろう」は、たった1文字の違いです。しかし、この思考回路の差こそが、圧倒的な差を生みだすのです。

「ちょっと待ってくれ」で一生チャンスを逃し続ける

決断に迫られた時に、「ちょっと待ってくれ」を繰り返す人がいます。でも、一体、何を待つのでしょうか? 何かの情報が足りないからまだ決断できない、その情報が来れば決断できる、ということならわかります。しかし多くの場合は、「本人の覚悟が足りていないだけ」「決断するのが怖いだけ」です。

「まだ決断する勇気がないので、腹をくくれるまで待ってくれ (いつになるかわからないけど)」と言っているのです。

ビジネスでも、人から受けた提案に対し、「検討させていただきます」と口にする人がいます。時には熟慮することも大切ですし、軽はずみに何でもかんでも判断してはいけません。

ですが、「検討する」というからには、「何を検討するのか?」「どの項目が、どういう条件であればOKなのか」が、少なくとも自分でわかっていなければいけません。それが明確になっていないのに、単に「検討します」と言っているのは、「すいません、私にはまだ決断する勇気がありません。勇気を持てるまで待ってくれませんか?」と言っていることと同じなのです。

失敗をするのが怖いから決断できない、という人もいます。でも、決断をしなければ「失敗」を避けられるかというと、そんなことはありません。失敗が「明らかにならない」だけで、じつは知らず知らずのうちに失敗しているのです。

たとえば、どちらかを選べば2000万円を手にできるチャンスがあったとします。まだ2000万円は手にしていないので、決断をしなかったがためにそれを失ったとしても、さほど痛みを感じません。ですが本質的には、2000万円を失うのと、2000万円を得られるチャンスを失うのは、同じことです。それだけ「損」をしているのです。感覚的に損をしていないが、実際には損をしているということです。

何十年も読み継がれてきた"お金の古典"である『バビロンの大富豪』に次のような一節があります。

「どなたか、自分にとって非常に利益となる出来事を避けてしまうような人間をどう呼べばいいのか、教えていただけませんか」
「優柔不断な人間!」
「そう、チャンスが来た時にそれを活かさない人だ。待ってしまう人だ。他にすることがたくさんあってできやしない、と言い訳を並べる人だ」

この本では、「幸運は、躊躇している間に逃げてしまうものだ」、そして「その元凶は、断固たる決意で迅速に行動することが求められているときに、不必要にグズグズする習慣」と指摘しています。

優柔不断はチャンスを逃します。逃したことすら気づいていない人も大勢います。そして「オレにはチャンスがない」と愚痴るのです。これでは一生、チャンスを活かすことができません。

明日死ぬと思えば、今日がリアルになる

「明日死ぬと思って 生きなさい。 永遠に生きると思って 学びなさい。」(マハトマ・ガンジー)

明日死ぬと思えば、今日がリアルになります。今日を大事にします。終わりを意識すると、とたんに大切に思えるのです。

経済学は「稀少性」から出発した学問です。すべてのものは有限なので、できるだけ有効に使わなければいけない、ではどうすれば時間、お金、地球資源、その他の資源を最大限有効に使えるだろうか? それを分析するために経済学はあります。

もし、この稀少性を意識しなかったら、人は「大切にしよう、有効に使おう」と考えなくなります。

「生き方」も同じです。人生が今日で終わりだとしたら、何をするでしょうか。自分の行動が大きく変わるはずです。

「ちょっと待ってくれ」というフレーズが出てくるのも、「いま決めなくてもいい、また今度決めればいい」と思っているからではないでしょうか? つまり時間が有限であることに気づいていないからなのです。明日死ぬと思えば、「ちょっと待ってくれ」などと、悠長なことは言っていられません。大事なことはすぐに決断して、前に進もうとするでしょう。

ただ、「明日死ぬつもりで生きる」だけではいけません。明日死ぬのであれば、何をやっても無駄だから遊んで暮らそう、となってしまいます。次の「永遠に生きると思って 学びなさい」も合わせて肝に銘じなければいけないのです。

ぼくはこの「永遠に生きるつもりで学ぶ」を「大事なことをじっくり学びなさい」と理解しています。世間には、「手っ取り早く、結果が出るテクニックを教えて」と望んでいる人が多くいます。すぐに結果が出る方法があれば、誰もが知りたいでしょう。ですが、多くの場合、それは付け焼き刃の知識でしかなく、本当に役に立つ知識、テクニックではありません。

そもそも、そんな手っ取り早く解決する知識があれば、誰も悩みはしません。というよりみなさんの耳にも既に入っていておかしくないです。実際は、そんな知識はないのです。

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木暮太一の「経済の仕組み」

木暮太一

10万部超のベストセラー『今まで一番やさしい経済の教科書』などのビジネス書で知られる著者が、なんとなく分かったつもりになっていた「経済の仕組み」を懇切丁寧に解説します。ビジネスパーソンの基礎力を高めたいなら必読です。

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