「ハーナビ」を磨いて、自分の好みを探っていく
玉袋筋太郎(以下、玉袋) 今の若けぇやつって、すぐ「ぐるなび」とか「食べログ」で検索して行っちゃうじゃないですか。あれが俺、許せないわけ。やっぱりね、自分の鼻……俺は「ハーナビ」って呼んでんだけど。
久住昌之(以下、久住) ははははは!
玉袋 やっぱ、ハーナビをきかせてお店に入らないとさ。ベスト5のとこばっか選んで行くやつって、損しねえし、授業料払ってない感じでなんかずるいんですよ。地方に行った時なんかも、知らない店にふらっと入ると、センサーが研ぎ澄まされる気がする。
久住 ほんとにそうだよね。入ろうかな、やめようかなって勝負して、えいやって入ってみて、時には失敗する。そうすることで何が鍛えられるのかって言うと、自分の好みがわかってくるんだよね。そうしたら、人の価値観に左右されなくなるんだよ。
玉袋 うん、うん。
久住 ランキング1位のところに行くっていうのはさ、みんなの好みじゃん。それとは違う自分の好みがかならずあるはずなんだよね。
玉袋 俺も行列のできるラーメン屋なんか行かねえ。ビール頼んでも、突き出しが出てこねえから。近所の普通のラーメン屋でも、ビール頼んだら小皿にメンマが出てくるようなところがいい。そういうことにたどり着くんだよね。
久住 自分の好きなものがわかれば、もう人は関係ないんだ。で、おいしそうだと思って入った店が、ものっすごくまずかったりすると、それはそれで「おいしい」経験になる。飲み屋で話してウケるのは、だいたい失敗した話だから(笑)。
玉袋 そうそう、「ハズレも当たり」なんですよ。ネタとして減価償却できるから。
久住 このあいだ吉祥寺で、ものすごく人の良さそうなおじいさんとおばあさんがやってる食堂を見つけてね。仕事場の近くだったから、「わ、こんな店があるなんて最高」と思って入ったんだよ。で、「天ぷら味自慢」って書いてあるから天ぷら定食頼んだら、冷たい天ぷらが出てきたんだよね……。
玉袋 うわ……(笑)。