茨城県の水戸に来ています。JR水戸駅の周辺は、早春になると見どころがたくさんあります。まずは駅からほど近い偕楽園。日本三大名園のひとつにして、梅の名所です。早咲きの梅はすでに見頃を迎えていますよ。また、市街地を進むといきなり現れる巨大な水辺、千波湖にも気持ちのいい風が吹いています。たくさんの水鳥、散策する人が集まっていて、のどかな気分に浸れます。
自然の美を堪能したら、そのまま足を延ばして水戸芸術館へ。現代美術ギャラリーではいま、「拡張するファッション」と名付けられた展示が開かれています。
美術展なのに、ファッションとは。すこし不思議な気がするでしょうか。ファッションといえば、季節ごとに新作コレクションが発表され、最新の流行が決められていき、それに則って商業的な展開が為されていく……。そんな業界イメージが強かったりもしますしね。
もちろんそういう面だってあるでしょう、でも、もうすこし根本的なところから考えてみることだってできるはずです。何かを身にまとうファッションとは、その人の価値観をはっきりと示す表現方法のひとつです。ファッションのつくり手も享受する側も、衣服に美しさやメッセージを込めているでしょう。それはアートがしたいことや人にもたらす効用と、まったく同じですよ。
ファッションとアートはひじょうに親和性が高いのです。といいますか、ほぼ同じものと考えたっていいんじゃないでしょうか。ファッションもアートの一部で、また、アートはファッションの一部なのかもしれません。ともかく、両者は不可分な存在なのだとおもいます。
今展は、ファッションを切り口にして、現代美術を眺めていこうというもの。たくさんのアーティストが参加していて、いくつも連ねっている展示室ごとに、まったく異なる作品と雰囲気が楽しめるようになっています。
最初の部屋に並ぶのは、写真です。「越境は写真から始まった‐ストリート、ファッション、ドキュメンタリー」とのテーマで、ホンマタカシが作品を展開しています。
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