週刊ダイヤモンド
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第23回】診療所の6%は赤字経営 歯医者サバイバル時代(前編)
開業すれば当たり前のように稼げていたのは過去の話。赤字経営で立ち行かなくなる診療所が増え、勤務医たちには歩合のプレッシャーがのしかかる。
都内のある歯医者は数字が並ぶパソコン画面を前にため息を漏らす。今月も収支は赤字。ビジネスマンの多いエリアで開業したものの、患者が集まらない。インプラントなどの自由診療の患者は1カ月に1人がせいぜいだ。診察台に座って開口一番、「今日は数千円しか持ち合わせていません」と言ってくる患者もいる。周囲にはすでに何件もの歯科診療所があり、上客はすでに食い尽くされていた。
同じく都内で開業する別の歯医者もパソコン画面をのぞき込む。モニターに映るのは地図情報サイトである「グーグルマップ」。今日訪れた初診患者の住所を打ち込み、航空写真で家を表示させる。家の外観から患者の年収を推定し、どれくらいの額の自由診療まで受け入れ可能か見当をつけるのだ。
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この連載について
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歯医者数が10万人を突破した。明らかな供給過剰であるため患者争奪は激化している。技術も知識もないまま新しい治療法に手を出したり、過度なもうけ主義に走る者も存在する。だまされずに、いい歯医者と治療法へたどり着けるよう、歯医者と業界の見え...もっと読む
著者プロフィール
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※ cakes版では、一部の漢字が簡略体で表記されている場合があります。内容は『週刊ダイヤモンド』本誌の編集当時のものです。