性犯罪の再犯率を予測する
アメリカでは、性犯罪者の再犯のリスク評価が、もう随分長いこと実施されています。よく用いられるのは、Static-99と呼ばれる統計に基づいた手法で、犯罪者のこれまでの性犯罪の回数、被害者の性別、被害者との関係(義理の父子、親戚、顔見知りかなど)、加害者の年齢、教育レベルなどなど、非常に多くの情報をそれぞれある係数に換算し、再犯の可能性を算出します。
この手法によって算出された再犯の的中率は70〜75パーセント。ちなみに経験豊富な保護観察官による再犯予想の的中率は、わずが50パーセントなのです。つまりその道の専門家の判断よりも、データを元に機械的に判断したほうがずっと精度が高いのです。人間はどうしてもバイアスを受けやすい動物です。容姿のいい人のほうが、そうでない人よりも実刑ではなく執行猶予で済む可能性が高いとのデータもあるくらいのです。公正な判断を下そうと思ったら、統計的な手法などを用いて機械的に判断したほうが、人間の判断に頼るよりもよほど的確なのかも知れません。
この程度のデータ量で70〜75パーセントもの確率で的中するのなら、もしももっと大量のデータを日常的に取り込み、再犯率の計算したら一体どのくらい精度が高められるのでしょうか?
子供の将来を占うことは可能なのか?
「シャーロット・マッケレンバーグ・スコアカードシステム」という、どの子供が落ちこぼれるか予測するシステムがあります。ノースカロライナ州のある学区で採用されたこのシステムは、子供の各教科の成績、問題行動の内容や回数などに基づいて、どの子供が近未来に落ちこぼれるか予測するシステムです。子供が現実に落ちこぼれるのを待たずに、前もって手だてを講じようというわけです。幼稚園の最初の2ヶ月でどの児童が落ちこぼれるか予測できるとの触れ込みで、先生の間でも評判が良いようです。
—Jason E. Miczek for Digital Directions
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