大森克己展「sounds and things」—写真にうつらない「もの」や「こと」

恵比寿のアートビルMEMで開催されている、写真家・大森克己さんの個展「sounds and things」。南相馬やニューヨーク、地中海など、特定の場所・テーマでこれまで撮影してきた大森さんですが、本展に並ぶのは、バラバラに撮影された写真ばかりで、一貫したテーマのなさに面食らうかもしれません。しかし、じっと眺めてくると、ある統一感が見えてくるんです。

東京のJR恵比寿駅を出てしばらく歩くと、オフィスビルと住宅が入り混じった地域に至ります。その一角に忽然と現れるのがNADiff A/P/A/R/Tという一軒の建物。アート専門書店、バー、いくつかのギャラリーが入居する「アートビル」です。この2階に、現代美術を扱うギャラリーMEMはあります。開催中なのは、大森克己展「sounds and things」でした。

白色で統一された室内に、写真作品がリズミカルに並んでいます。一枚ずつはさほど大きくないので、遠目には何が写っているのか、よくわかりません。でも、画面を満たしている色合いがどれも、たいへん落ち着きがいいというか、丁寧に整えられてぴたりとそこに収まっている印象があります。そのおかげもあるのでしょうか、内容がわからぬまでも、離れた位置から横並びの写真群を眺めているだけで快い。

壁全体、空間全体のいい気配をひとしきり楽しんだら、もう少し一枚ずつに近寄ってみましょう。ふむ、こんどは何が写っているか、ちゃんとわかりますよ。

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アート・コンシェルジュからの便り

山内宏泰

世に“アート・コンシェルジュ”を名乗る人物がいることを、ご存じでしょうか。アートのことはよく知らないけれどアートをもっと楽しんでみたい、という人のために、わかりやすい解説でアートの世界へ誘ってくれる、アート鑑賞のプロフェッショナルです...もっと読む

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_k18 上からでもなく下からでもない視線がとらえた「もの」や「こと」| 今週はMEMです 約4年前 replyretweetfavorite