第9回 キョウセイ・ホームステイ【翠川初音】翌日の学校

漣の義理の兄・理音が、突然初音と漣の前に現れた。クール、というより冷淡な印象の彼に、初音は身構えてしまう。

★『こちら、幸福安心委員会です。女王様とハピネス・サマー・ゲーム』発売を記念して、前作にあたる『こちら幸福安心委員会です。女王様と永遠に幸せな死刑囚』の一部を公開します。

♪こちら、幸福安心委員会です。♪


 理音先輩は、不機嫌そうに一瞬だけ振り返った。メガネに触れる。

《あなたの権限では、注視を許可されていません。日常に戻ってください。日常に戻ってください》

 同じ、警告メッセージ。  
 こちらを見ていた全員の手元で、いっせいにシンクフォンが鳴って、ちょっとだけうるさかった。ざわめいて、一言二言、耳打ちするように会話を交わすクラスメイトたち。  
 だけど、もちろん全員、言われたとおりにする。警告に従うのも、幸福義務のうち。校則でもある。逆らうような生徒は、いるはずがないんです。  
 凛ちゃんだけは例外で、頬をふくらませつつ文句を言う。私はハラハラしてしまう。
「それでなにしに来たのっ」
「来たんですか、だ。年長者に敬意を払え。ボクは本家に遠慮しているわけじゃあない。そういうのは嫌いだからな。むしろ—」
「凛を対等な相手と認めている。家柄的にも、実は学業成績でも。だから同じ口の利き方で対応している。そういうことだよね?」  
 いきなり横から、漣くんが言う。まるで無関係のことでもつぶやくように。アンニュイな表情で頬杖をついたまま。窓の外を、ぼんやりと眺めている。だけど観察はとっくに済ませている、きっとそう。  

この続きは有料会員登録をすると
読むことができます。
cakes・note会員の方はここからログイン

1週間無料のお試し購読する

cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。

人気の連載

おすすめ記事

この連載について

初回を読む
こちら、幸福安心委員会です。女王様と永遠に幸せな死刑囚

wogura /うたたP /鳥居羊

ニコニコ動画で200万再生突破の大人気ボーカロイド楽曲『こちら、幸福安心幸福委員会です。』ノベライズ第2弾! 幸福だけが満ちている完全で完璧な理想郷、みずべの公園市国――。「バロック」で「歪んだ」新しい世界線に辿りついた漣、初音、凛た...もっと読む

この連載の人気記事

関連記事

関連キーワード

コメント

tory_hitsuji こちら、2巻の第9回でございます('ω'@) 4年以上前 replyretweetfavorite