想像上の僕

重度の自閉症を抱えながらも、社会を鋭く見つめている作家・東田直樹さんの連載です。
みなさんは、「理想の自分」を思い描いた経験があるでしょうか。それに対する切実さは人によって異なるでしょうが、そういった理想と現実の落差を、みなさんはどのようにして承服してきたのでしょうか。
東田さんの凛とした言葉に背を正されるような、今回のコラムです。

 もしも僕が自閉症ではなく、普通に生まれていたら、どんな人生を歩んでいたのだろうと想像することがあります。

 けれども、自閉症ではなく、他の障害を抱えて生まれていたら、どうしていたのかということについては、あまり考えたことはありません。

 普通の人が障害者である自分が想像できないのはわかりますが、障害者である自分もまた、他の障害を抱えている自分を想像できないのは、何だか不思議な気もします。

 想像上の僕が何をしているのかというと、クラスのみんなと笑っていたり、スポーツをしていたり、いつも何気ない生活の一場面が頭の中に浮かんでくるだけです。


 こんなはずではなかったという思いは、誰もが持っているものなのでしょう。

 自閉症である自分を受け入れている僕にも、そんな気持ちは、残っているのかもしれません。

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跳びはねる思考—22歳の自閉症作家が見た世界

東田直樹

「僕は、まるで壊れたロボットの中にいて、操縦に困っている人のようなのです。」 会話ができないもどかしさや意に沿わない行動をする身体を抱え、だからこそ、一語一語を大切につづってきた重度自閉症の作家・東田直樹。 小学生の頃から絵本...もっと読む

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ellessound 想像上の僕|跳びはねる思考――21歳の自閉症作家が見た世界|東田直樹|cakes 「しかし、今ではうらやましいとは思わなくなりました。想像上の僕も、見えない所で泣いたり悔んだりしていることが、わかったからです。」 https://t.co/hrKdDe2Mwl 約3年前 replyretweetfavorite

TotoAkeru 「想像上の僕は楽しそうです。  しかし、今ではうらやましいとは思わなくなりました。   僕の幸せは、現実世界だけでしかつかめないのです。」東田直樹 https://t.co/DoN6wj09OH 約3年前 replyretweetfavorite

yukidarumaa 購読してます、cakes! 約3年前 replyretweetfavorite

machiko22 直樹くん!!cakesで連載していたなんて知らなかった。5年前に、短いプロフィールビデオを作らせてもらいました。 http://t.co/pOGTH4yTPA 約3年前 replyretweetfavorite