第39回】日本には碌な男がいない!? 知人の婚活をきっかけに考えたこれからの夫婦の形

婚活をしてみたという男性の話が、意外で、面白かった。年齢は55歳、離婚歴あり。最近、立て続けに両親を亡くし、天涯孤独と感じたための一念発起だったそうだ。


〔PHOTO〕gettyimages

スタート地点に恵まれたある55歳男性の婚活

婚活をしてみたという男性の話が、意外で、面白かった。年齢は55歳、離婚歴あり。最近、立て続けに両親を亡くし、天涯孤独と感じたための一念発起だったそうだ。

ただし、言っておかなければいけないのは、この男性がとても55歳には見えないばかりか、文句なしのエリートで、スポーツマンで、ルックスも上々という恵まれたスタート地点にいること。

しかも、性格が優しく、純情。前の奥さんの悪口など、口が裂けても言わないタイプ。つまり、これなら普通に会社に通っていても、彼女ぐらいすぐにできるだろうと想像できる人物なのだが、なぜか、その彼が大枚をはたいて、交際相手を紹介してくれる会社に申し込んだのであった。真面目さ所以の行動であろう。

希望の相手の年齢は45歳~57歳に指定したそうだ。男という生き物は、たいてい自分よりずっと若い女を好むので、これはちょっと珍しいケース。年下が嫌いなわけでは決してないが、どうしてもというわけでもなく、自分の好きな兄夫婦の年齢まで含めたら、上限が57歳となったという。

好みの女性が現れるので誰を選ぶかが難しい

その結果、5人の女性を紹介され、1ヵ月の間にその全員と会った。

「ワッ、すごい!」と話を聞いていた男女が沸く。

「それで、それで?」

すると、ちょっと口ごもって、「あのシステムは、よくないよ」と彼。

「やっぱり、ダメ? 趣味に合う人って、なかなかいない?」

「いや、そうじゃなくて、皆、いいんだよ」

「エッ、皆、いいの?」

意味がよくわからない。

「うん、最初の調査が徹底しているんだね。さすがに、これといった好みの女性が現れる。全員、パートナーとして、一応、想定できる」

「へー」と、皆、ちょっと怪訝な顔。

「5人ともよかったの?」

「うん、5人ともよかった」

「じゃ、いいじゃない」と、居合わせた人間は顔を見合わせる。皆が、ちょっと羨望の眼差しになる。

「でも、考えてみてよ。まず、その5人のうちの誰を選ぶかが難しい。それでも、どうにか決めて、付き合うとするでしょ。そしたら今度は、恋をしなければならない。そして、その恋が愛に発展するかどうか、見極めがつくまでさらに月日が必要だ。最低2年ぐらいは掛かるだろう」

皆、ポカンとして聞いている。彼はさらに続ける。

「でも、それが恋に、そして、さらに愛に発展するかどうかはわからない。2年経って、ダメだったらどうする? また、次の人と最初からやり直すなんて、考えただけで憂鬱になった。だから、全部、止めた」

そこまで聞いて、場は騒然。

同い年の男が叫ぶ。

「お前はアホか!?」

女性も叫ぶ。

「なぜ、全部やめなければいけないのよ! 今頃、恋だの愛だのって、何を考えているの?」

「付き合ってみればいいのよ。つべこべ言わずに」

中には、「考え方が間違っている。離婚から何も学習していないんじゃないか?」とか、「55歳にもなって、純情一筋でどうする!?」といった、支離滅裂な意見も飛び交う。

ところが当の本人、いたって穏やかで、「もう、いいよ」とニコニコしている。

「もう一回、会ってみろよ。まだ、復活できるんだろ。もったいない」と、そういうチャンスは夢に見るしかない既婚男性が、最もご執心の様子。

しかし、「復活はできるけど、もういいよ」と、彼はにこやかに、そして潔く言った。

この続きは有料会員登録をすると
読むことができます。
cakes・note会員の方はここからログイン

1週間無料のお試し購読する

cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。

人気の連載

おすすめ記事

現代ビジネス

この連載について

初回を読む
シュトゥットガルト通信

川口マーン惠美

シュトゥットガルト在住の筆者が、ドイツ、EUから見た日本、世界をテーマにお送りします。

この連載の人気記事

関連記事

関連キーワード

コメント

Tweetがありません