楽しい仕事に出会うためには何からはじめればいい?
木暮 夢なんか持たなくていいってすごくわかります。僕は「遠すぎる夢は持たないほうがいい」とも思っています。夢って、遠すぎるとやる気なくしますよね? つまり、本当にただの夢で終わってしまう。
家入 そうですよね、考える時間でうだうだしないということだと思います。僕はまず先に「箱」を作ってしまうのもいいんじゃないかなって思いますよ。1円でも会社って作れるわけですから。会社という箱を作ってから、何をしようかなって考えてもいいと思うんです。
おもしろいのが「代表取締役」っていう肩書きを持つと、人って変わるっていうことです。何かできる気になってくるんですよね。その肩書きを持った途端、急に活動的になった子達を何人も知ってます。
木暮 まず、会社作っちゃえ! っていう発想はすごく面白いと思うんですけど、僕も、会社を作るとなると、どうすればいいんだろうって思ってしまいます。
家入 あれ、そうですか?(笑)
木暮 何からはじめたらいいんですかね?
家入 うーん……「なんでもいいから、目の前の人が喜ぶことをやってみる」といいと思います。たとえば、おばあちゃんがいて、肩たたきをしてあげたら喜んでもらえた。じゃあ、日本中のおばあちゃんの肩たたきをしてあげる……のは無理か(笑)。
僕の場合は、インターネットを使ってどういうことができるかっていう発想になるんですけど、元手がゼロに近い金額で何かを立ち上げることができる。だから、思いついたらやってみればいいんですよね。
木暮 そういえば、家入さん「拾ってきた石」を売っていたことありましたよね(笑)。買う人いたんですか。
家入 そうそう。買ってくれる人いたんですよ。「家入一真の石」って書いて売り出したんですよね。一つ3000円で、6個ぐらい売れました。同じように、「木暮太一の石」を売りだしたら買いたい人がいるかもしれない。そしたら、世界中の石を売りたい人と、買いたい人をつなげる場をネット上につくるとか……。そのうちにすごい石の目利きができる人が出てくるかもしれない。
木暮 これが、連続起業家の発想なんですね……。こうじゃなきゃいけないとか、これだけ売上立てないといけないとか、何かをはじめる入口には必要ないんですよね。
家入 みんな、外を見すぎだと思うんです。どうして僕がまず小さいところから始めろというのかというと、起業はべつにきれいごとじゃないんですよね。今の自分の仕事をしながら、やりたいことを見つけていくのがいいと思います。何かをはじめるためには、何かを捨てるとか、そういうのが潔いと評価する人が多いけど、それは美談にすぎないと思います。
木暮 そうですね。やりたいことをやるとか、夢を叶えるためには、精神的な安定も大切だと思うんです。だからはじめるなら、サラリーマンとしての収入があるときにはじめたほうがいいんじゃないかと僕も思います。結果を出さなければ生きていけないというプレッシャーの中では、なかなか物事を進められないと思うんです。
幸せに働くためにはどうすればいいのか
木暮 自分の能力とか時間とか、限られた資源を「投資家」のように見る姿勢は大切だと思います。会社を辞めず、今までの稼ぎを維持したままでどうやってやりくりしていくかという発想ですね。
アベノミクスで景気が回復してきたとか言われていますけど、そんなことはないわけで、もはや、不景気なのかどうかもよくわからない。じゃあ、そんな世の中でどう生きていけばいいのか。家入さんはどう思いますか?