考えているだけではだめなんです
いらっしゃいませ。
bar bossaへようこそ。
昨年、『バーのマスターはなぜネクタイをしているのか?』(DUブックス)という本を書いたからか、「いつかお店をもちたいんですよ」という相談をお客様からされるようになりました。
僕は脱サラをして独立して何かを始めるという人がすごく好きなので、「いいですねえ。どんなお店を始めたいんですか?」と具体的な話をすぐに聞いてしまいます。
するとみなさん具体的なアイディアを持っていて「すごく美味しいカレーとコーヒーとボブディランだけの店を考えているんですよ」とか「日本酒とカラスミやヌタみたいなちょっとしたおつまみをワインバーのような雰囲気で、音楽はJBLを置いてゴリゴリのジャズっていう感じのお店やりたいんですよ」とか「なるほど。面白そうだな」って感じのことを教えてくれます。
ところで「お店をやりたい人が10人いたら、本当にお店を開店する人はそのうちの3人。そしてそのお店が成功するのは1人」という話をご存知でしょうか。この数字、お店をやっている人間として「そのくらいの割合かなあ」っていう実感があります。
どうでしょうか。結構厳しい数字だな、じゃあ自分には無理かなって感じてしまった人もいるかもしれません。
そうですか。あなたは、満員電車に揺られて、嫌いな上司に頭を下げてサラリーマンを続けるのが嫌だったのではないのでしょうか。残念です。あなたは結構良いアイディアを持っていたはずなのに、です。
アイデアは思いつくだけでは意味がありません。例えば僕も、今みたいな「立ち飲みスタイル」が流行るずっと前から「スペインバルのようなカジュアルでお洒落でちょっとしたおつまみがあるワインバルっていけるんじゃないかな」って考えていました。
で、実際にそういう立ち飲みスタイルのワインバルが東京中の色んな場所に作られて、どのお店もすごく賑わっているのを見たとき、「ずっと前から考えていたのに」って思いました。
考えているだけではダメなんですよね。腰を上げて、本当にそのお店を作った人だけが「成功者」になれるんです。「ああ、そのアイディアずっと前から考えていたのに」では「負け」なんです。