あんなに一緒だったのに……
岩井志麻子(以下、岩井) 女の人とナンカしたいと思ったことはないんですけど、よう考えたら私って、喜怒哀楽を激しく向けてしまう相手はみんな女なんですよ。
牧村朝子(以下、牧村) そうなんですか!
岩井 大好きな人も、憎くてかなわん相手もみんな女ですね。男には割と淡白というか、そこまでひきずるとか恨み続けるってことがないんですよ。根底になんかあるのかしら、女を求める気持ちが。
牧村 あるのかもしれませんよ。女性の方に、もしかしてこれは恋愛かしらって気持ちを持たれたことはあるんですか?
岩井 あのー、この話を最初から最後まですると明日になってしまうのでダイジェストでいいですか(笑)。以前、Lちゃんっていうマネージャーの女性を雇っていたんですね。私の大ファンだ、って言って近づいてきた人だったんです。私も最初は彼女のことが大好きでね。彼女さえいてくれたら友達も旦那もいらない、って思えるくらい信頼していたんですよ。
牧村 まあ、そこまで。
岩井 周りにいた人にも、Lちゃんって本当に志麻子さんが好きなんだね、恋する人の目で志麻子さんのことを見てるよね、って言われていたくらい、公私ともにべったり一緒にいました。だけどいろいろあって決裂して。今思えば、肉体関係はなかったにしても、人生の中で一番濃い愛憎を伴う関係だったと思うんです。彼女だけですねえ、決裂してからも何年にも渡って恨み続けたのは。
牧村 今でも恨んでいらっしゃるんですか?
岩井 さすがに薄れてきましたけどね。別れた直後は、寝てもさめても彼女のことを考えていましたよ。だまされた! あんなに好きだったのに! って。でもそういう憎しみって、愛がなければ生まれませんよね。一番愛して一番憎んだ相手だと思う。はっきり言って前の夫とか足下にも及ばないですよ(笑)。
牧村 「愛の反対は無関心」ですものね。
岩井 夫といえば、牧村さんは今、フランスで結婚されてるんですよね。相手の方はその、奥さんというか……奥さんって言い方でいいんですかね? 牧村さんが奥さんではない?
牧村 それ、あちこちで聞かれるんですけど、両方奥さんなんです。
岩井 両方なんだ。
牧村 夫役・妻役っていうものを決める必要はないと、私は思っています。私の妻ってとてもボーイッシュなので、よく、こっちが男役なのね、セックスでもタチなのねって言われるんですけど、生活においても、セックスのことに関しても特に役割は決めていないです。お互いにできることをやるって感じです。
愛する人のために死ねますか?
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