後編】なぜ詩人が、天気予報を発信するのか?

キザすぎる詩人としてじわじわとファンを増やす菅原敏氏。自らの間合いで詩を伝える事にこだわる彼が、今年新たな作品として手掛けているのが「詩人天気予報」です。なぜ詩人が、天気予報を発信するのか? そこには、もともとラジオ番組を持ちたかったという彼の、ある“思惑”がありました。ケイクス代表加藤貞顕によるインタビュー後編です。

一日一篇の詩を書いて生きる術もある

加藤 菅原さん、今は詩人としてどんな活動が中心なんですか?

菅原 会社を辞めるころにスターバックスのウェブマガジンで、一日一杯分の詩を届ける「a cup of poem」という連載をやっていました。それがこの道でやっていく大きな転機になりましたね。1カ月だけだったんですけど、毎日一篇の詩を書いて生きる術もあるんだなって。ぱらぱらとそういう仕事も頂いています。

加藤 ああ、詩って広告やオールドメディアにおけるコンテンツとも相性がいいですね。あとはライブもやっているんですよね?

菅原 はい、朗読会やディナーショーを開催したり。ソロリサイタルと銘打って、詩の朗読だけではなくひとつのステージとして、シャンソンやお客さんとの絡みがあったりとか。あとは雑誌や新聞にエッセイを書いたり、『宮崎美子のすずらん本屋堂』というテレビ番組の「東京古本散歩」というコーナーで、詩人としてナレーションをしています。

加藤 匿名の声ではなく、詩人として?

菅原 毎回テロップに、「語り:菅原敏(詩人)」と出してもらっていて(笑)。

自作のラジオ番組を始める!?

加藤 それで、天気予報はなんで毎日やっているんですか?

菅原 もともとは自分のラジオ番組を持ちたかったんです。ラジオと詩はすごく相性がいいなと思っていて。

加藤 確かに菅原さんのライブ動画を見ていると、非常にラジオ的なものを感じますよね。なんというか、ちょっとしたコミュニティ感があって。

菅原 ラジオが好きで、絶対に自分で番組をやりたいなと思っていて。スポットでの出演はよくあったんですけど、自分で番組を持つのはなかなか難しくて。「スポンサーがついたら結構簡単にできるよ」みたいな話をラジオ局の人に伺っていたので、最初は誰もが知っているような企業の社長さんに会いに行って、会食しつつ、俺がどれだけ最高で素敵な詩人かをプレゼンするという(笑)。

加藤 ははははは。

菅原 「こういうラジオをやりたいから、ぜひスポンサーに」といった話を、震える手でワイングラス片手に話したりしていました。それで、実は某会社さんがスポンサーになっていいよと言ってくれたんですね。でも実際にラジオ局に持ちかけたら、そういうケースがすごくレアなこともあって上手くいかなくなってしまって……。それだったら「まずは自分で発信しよう!」と。

加藤 それでYouTubeで始められたんですか?

菅原 はい。最初は他のコンテンツも交えて15分くらいの番組を考えていたんですけど、YouTubeで15分って長過ぎるかもなと。実はこのプロジェクトもPRE/POSTのクレイグさんに協力してもらっていて。アメリカで流行った動画などをリサーチしながら余分なコンテンツを削っていって、最終的に、もとは番組の一要素だった天気予報だけでいいんじゃないかって。シンプルに1分くらいに収めた天気予報に特化したものを毎日続ければ、いつかバズるんじゃないかと。

加藤 いや、あれ、おもしろいですよ。僕、毎朝見るのが習慣になりつつあります。天気予報を見られるのは普通に有益だし、かなり予想を裏切る展開が多くて。最初は、なんで天気とか言っているんだろう? って思ったんですけど、3日くらい見ると、毎日見なきゃいけないような気がしてきました(笑)。

菅原 よく言われるのが「じわじわくる」とか「蓄積型」とか。初見でみると、みんなマゴつくようです(笑)。

加藤 うん、意味がわからないです(笑)。あとおもしろかったのが、1月21日の天気予報で「雪、降れよ」って言いきるやつ。あの日、寒かったけど、晴れたんですよね。僕、夜に飲みに行っていて、深夜0時のちょっと前に家に帰ったんですよ。そしたら、はらはらはらーっと雪が降ってきて、うおおーってちょっと感動しました(笑)。

菅原 そうですね、あの日は、降ってくれて良かったな〜って思いました(笑)。

加藤 あっ、そこは気にするんですね(笑)。

菅原 一応気にしてます(笑)。

加藤 それで、今、クラウドファンディングをしてラジオ番組を買おうとしているんですか?

菅原 そうなんです。もともとラジオをやりたくて始めたYouTubeの詩人天気予報が、こういった経緯でラジオに戻っていくというのはおもしろいなと思っていて。詩人が番組枠をみんなで買い占めるというのも。

加藤 おもしろいですね~。番組はどんな内容をやろうと思っているんですか?

菅原 YouTubeの「詩人天気予報」をなぞった感じの番組を考えています。今日の心模様が曇りの人にはこの詩を一篇、みたいな。詩を届けながらフリートークも交えつつ。同じ番組名なので、ウェブとラジオ双方で盛り上げていければいいかなって。

詩は"ときめき"を言葉にしたもの

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いま詩人として生きていく—詩人・菅原敏インタビュー

菅原敏

詩人、菅原敏。2012年サンフランシスコの出版社PRE/POSTより逆輸入という形で詩集『裸でベランダ/ウサギと女たち』を出版。各方面で「キザすぎる!」と話題になった作品から2年の時を経て、彼が次に取りかかった作品は「詩人天気予報」。...もっと読む

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コメント

riamitsu @Iloveno8 @youtube 小銭どころじゃないw https://t.co/iOeBZP92KL 4年以上前 replyretweetfavorite

honno_sanagi 詩人て大体キザじゃね?と思ったらホントにキザw ぜひ動画を!"@cakes_PR: キザすぎる詩人としてじわじわとファンを増やす菅原敏氏。彼が新たな作品として手掛けているのが「詩人天気予報」。なぜ詩人が、天気予報を発信するのか? https://t.co/9hNpAxiFd4" 4年以上前 replyretweetfavorite

sugawara_bin ふふふ、ありがとう! 4年以上前 replyretweetfavorite

aroma_ym トキメキ。まさに! 4年以上前 replyretweetfavorite