半年の勉強で偏差値70に
ぼくは、吹奏楽部の活動に、全精力を傾けるほどの情熱を持つことはできませんでした。でも、「K君に勝てる分野で勝負する」という道を見つけたことで、ある程度の情熱を持つことができるようになりました。
……とはいえ、それによって身につけた情熱は、やはり、付け焼き刃にすぎないとも思います。実際、いまぼくは、あれだけ必死に青春の時間を費やした楽器演奏をつづけてはいません。たしかに火はついたけれど、いつのまにか情熱が消えてしまったのです。
絶えることなく情熱の炎を灯しつづけるためには、「圧倒的な成果」を挙げる必要があるんだと思います。
ぼくはシンバルで「そこそこうまい奏者」にはなれましたが、日本のクラシックシーンを変えるほどの「圧倒的な奏者」ではなかった。ぼくが音楽をやめてしまった大きな理由は、結局、自分が圧倒的な存在になれなかったからです。
では、圧倒的な成果を挙げるためには何が必要か?
そのひとつは「試行錯誤」だと思います。ぼくはこの「試行錯誤の重要性」を、大学受験の経験を通して理解しました。ぼくは、高校3年生の時、「試行錯誤」を繰り返すことによって、たったの半年で、55程度だった偏差値を、一気に70にまで伸ばすことに成功したのです。
ぼくの通っていた横浜市にある戸塚高校は、それほど学力が高くありませんでした。大学受験のレベルでいうと、多くの生徒は偏差値50程度の大学に進学していました。いわゆる「MARCH(明治、青山学院、立教、中央、法政)」や「早慶上智(早稲田、慶應、上智)」、「上位国立(東大、京大、阪大など)」に進む学生は、ごくわずかであるという状況です。
そんな環境のなかで、現役での早稲田大学政治経済学部への合格を勝ち取りました。当時、早稲田の政経は私大文系では最難関。戸塚高校のレベルでは考えられない成績でした。
自慢するようですが、ぼくは受験勉強に約半年しか時間を割いていません。高校3年の9月頭までコンクールのための練習に打ちこんでいたので、受験勉強を本格的にした時期は9月頭から受験直前の2月末までの6カ月です。
先述の通り、受験勉強を始めた頃の偏差値は55程度でしたが、2月の時点では70程度にまで上昇していました(英語・国語・世界史の3科目)。
こう書くと、いかにも天才高校生のようです。が、ぼくはかなりストイックに勉強をしていたので、当時から、「受かって当然」だと自分で考えていました。……あぁ、われながら嫌みったらしいですが、本当にそう思っていたので仕方がないのです。
三度目のトレーニングデイズ
3年生の9月から翌年2月までの6カ月間、ぼくは一日も休まず11~13時間机に向かい、累計で2200時間程度を勉強に費やしました。ストップウォッチを用いて、自分の勉強時間を徹底的に管理しました。
もともとの偏差値が50程度なら「効率よく」2000時間費やせれば、私立文系の上位校の合格ラインに達するとぼくは考えています。大学生時代に塾講師のバイトをしていたのですが、実際に合格していく生徒を見ると、概ね2000時間程度の勉強量でした。もともとの偏差値が低かったり、勉強効率が悪い場合は、3000時間程度必要でしょう。
ぼくが受験勉強を始めるにあたって、まず決めたのは、極力「学校に行かない」ようにすることです。
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