パート6. そして2vs12 温井川聖美[16:39−]枯野透、〈17〉[16:42]

link twoもこれにてジ・エンド、cakesの更新最終回です! 気になっていた方はぜひ、link oneより15人24時間の大晦日から始まる群像サスペンス長編を追いかけてみてください! 読みはじめたら止まれない、ライトノベル史上〈もっとも長い一日〉がここにあります。(イラスト:箸井地図)

温井川聖美[16:39−16:42]

41 サトミ16:39:11
だから、そうじゃないっての。
だいたい、あんた自分が自殺した
い理由も言ってないじゃん。そん
なんでどうしてこっちに納得して
引き下がれってのよ?
理由言いなさいよ、理由。なんで
死にたいのか。なんで一人じゃダ
メなのか。なんで徳永といっしょ
に死にたいのか。あんたの「完璧
な場所」とか「最良の方法」って
のは何なのか。 まずはそこからよ。

 その後ひとしきり、常連どものカキコがあってから。

55 〈17〉16:42:49
わかりました、ではこうしましょ
う。

 ──その後に続いた予想外の文章に、あたしは思わず指を止める。


枯野透[16:42]

「……おい!」
 駅前ロータリーの彼方から誰かの叫び声がした。僕は反射的に、手にしていた双眼鏡をかまえた。
「──藤堂だ、今の! ──車まわせ、早く!」
 横断歩道の反対側、ロータリーの隅にマーチがいた。大きな赤っぽい車の横で、ヤンキー連合の残りと何かしゃべってる。もしくは言い合いをしている。どっちにしても、あまり穏便な雰囲気じゃなかった。ひどく嫌な予感がした。
 ぐるりと双眼鏡で左右を捜す。
 たった今まで左側の大通りにいた徳永は──影もかたちもなし。
 他の仲間たちは──近くには誰もいない。
 そしてマーチの様子は──青い顔して、目尻に涙をうかべて、まわりを不安げに見回してる。絶対に何かまずいことに巻き込まれてるな、あれは。
 そして今の僕にできるのは──僕はくしゃみをこらえた。しゃっくりのような変な音がした。
 鼻がむず痒い。喉の奥もザラザラしてる。急に、疲れといっしょに大きな自己嫌悪の波がおしよせてきた。いやはや、まったく! なんだって僕はこうまでして、次から次へと人助けばかり試みてるんだろう? たいした成功の実績もなしに?
 いったいなんのために?
「マーチ!」
 深呼吸して、再び走り出す。走りながら僕はゆっくりと考える。のんびりと、でもなく、じっくりと、でもない。心を落ち着かせ、大事なことをゆっくりと僕は考える。ぼくのおじさんが、いつもそうしているように。

 ──そいつは大事な疑問だな。どれ、ゆっくり考えよう。
 子供の僕が発したいろんな疑問に、おじさんはそんなふうに言ってから腕組みをしたものだった。

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高校2年生、徳永準の自殺予告メールがネットに流出しました。彼を救うべく懸命に彼を探す捜索隊、否応なしに巻き込まれる者、別の思惑を抱くもの、そして殺人鬼まで……!? 15人24時間の大晦日の長編群像サスペンス、こっからが本番です! 読み...もっと読む

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