パート6. そして2vs12 徳永準、オサリバン・愛[16:41]

誰かが遠くで叫んでいる。ぼくは動けない。魔法につかまったみたいに。ほんの一秒が百年にひきのばされる。心臓が一回だけ脈をうつ――高校2年生、徳永準の自殺予告メールがネットに流出しました。頭脳派、お人好し、リーダー気取り、犯罪者まで入り乱れて彼と彼を導く殺人鬼(?)〈17〉に迫ります! 15人24時間の大晦日から始まる群像サスペンス長編! 読みはじめたら止まれない、ライトノベル史上〈もっとも長い一日〉をご堪能ください。(イラスト:箸井地図)

徳永準 [16:41]

 見覚えのある、可愛い女の子。
 そうだ。なにもかもが、ぼやけていた。靄がかかったような感じで、ぼくはただ走って、走り続けて、逃げ回っているうちに方角も何かもかもわからなくなって、ぼくは本当に今日の大切な目的さえも忘れかけていた。
 女の子がぼくを見る、ぼくも彼女を見つめる。誰かが遠くで叫んでいる。ぼくは動けない。魔法につかまったみたいに。ほんの一秒が百年にひきのばされる。女の子はまっすぐに見つめる。ぼくは動けずにいる。心臓が一回だけ脈をうつ。耳の奥が冷たくなって、ぼくは何もかも忘れてその場に倒れてゆく。
 彼女の瞳は、深いグレー。


オサリバン・愛 [16:41]

 だもんでアタシの「勝負」ってのは、ホントに一瞬のことだったわけですわ。
 こっちの気持ちは、マリエさんに言ったとおり。
 ていうか、あの人に訊かれてしゃべってるあいだに、だんだん固まってったっていうのが正しいのかな。
 マリエさんて、すっごくストレートな目線なんよね。こっちが嘘つけなくなるくらい、まっすぐ見つめてくる。だからアタシの本心も、しゃきっと直立不動になって、一歩前進するしかなかった。
 そう。
 アタシ、そのことを彼に言おうとしたんよ。一歩前進しちゃったアタシの本心を。
 死ぬの考え直してもらえませんか、ってのを。

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15×24(イチゴーニイヨン)link two 大人はわかっちゃくれない

新城カズマ

高校2年生、徳永準の自殺予告メールがネットに流出しました。彼を救うべく懸命に彼を探す捜索隊、否応なしに巻き込まれる者、別の思惑を抱くもの、そして殺人鬼まで……!? 15人24時間の大晦日の長編群像サスペンス、こっからが本番です! 読み...もっと読む

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