パート6. そして2vs12 笹浦耕、伊隅賢治、西満里衣[16:31]

この包囲網を簡単に突破する方法はある。おまえが、ボクを人質にとればいいだけなんだ――高校2年生、徳永準の自殺予告メールがネットに流出しました。頭脳派、お人好し、リーダー気取り、犯罪者まで入り乱れて彼と彼を導く殺人鬼(?)〈17〉に迫ります! 15人24時間の大晦日から始まる群像サスペンス長編! 読みはじめたら止まれない、ライトノベル史上〈もっとも長い一日〉をご堪能ください。(イラスト:箸井地図)

笹浦耕[16:31]

「だってマリエさんが行けって!」折口が怒鳴り返してくる。「連絡あったから! 歩道橋へ急行って!」
「なんでだよ! 誰だそんな連絡したの!」
「誰ってあなたでしょ!」
「はあぁ!?」
「だって順番決めてたじゃないですか! 連絡の! 左右田くん、笹浦さん、マリエさんって!」
「してねーよ!! つーかなんでオレが──」
 待てよ。てことはつまり。
 オレら一斉にふりむいた。なんか知らねーけど、地面にコケてるボケ野郎もふりむいた。公園の南側、がら空きになってやがる!
 今から池をぐるっと回って南へ──ってけっこう遠いよ! 絶対間に合わねーよ! けどオレ、とにかく全力で走り出した。
 だって、やんなきゃなんねーことは、やんなきゃなんねーでしょうが。とほほ。
「ササウラさん!?」
「うるせー! 徳永のド阿呆がこっち戻ってきたら、ちゃんとつかまえろ!」
 池を回って南の岸、池を回って南の岸だ!
 風が冷たい。無気味な空のネズミ色。視界を横切る木の幹の彼方で、赤いコートが見えては隠れる。圧倒的に速い。橋を渡りきって遊歩道を抜けたら、そっから南はどこまでも住宅街だ。包囲網もヒントも何もない、無限に広い東京だ。
 広すぎんだよ、くそ東京! 聞いてんのかこら!
 息が切れる。脚がもつれる。こうなったらもう、あとは西のやつが橋のたもとで通せんぼでもして、時間稼いでくれんのを祈るしかない。
 それにしても普段なに食ってやがんだ、あのド阿呆? つーか今日だけ変なもんでも食ったのか? 体育祭ん時は、あんなに速くなかったぞ!

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15×24(イチゴーニイヨン)link two 大人はわかっちゃくれない

新城カズマ

高校2年生、徳永準の自殺予告メールがネットに流出しました。彼を救うべく懸命に彼を探す捜索隊、否応なしに巻き込まれる者、別の思惑を抱くもの、そして殺人鬼まで……!? 15人24時間の大晦日の長編群像サスペンス、こっからが本番です! 読み...もっと読む

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