パート6. そして2vs12 枯野透、笹浦耕[16:30]温井川聖美[16:31]

「あなたには関係のないことでしょう。」「あるわよ。あんたのおかげで知り合いが苦労してんだから。 ていうか一人で死んでくれる?」――高校2年生、徳永準の自殺予告メールがネットに流出しました。頭脳派、お人好し、リーダー気取り、犯罪者まで入り乱れて彼と彼を導く殺人鬼(?)〈17〉に迫ります! 15人24時間の大晦日から始まる群像サスペンス長編! 読みはじめたら止まれない、ライトノベル史上〈もっとも長い一日〉をご堪能ください。(イラスト:箸井地図)

枯野透[16:30]

「こっち捜すから!──」
 声の主に気がつくのが、ちょっとだけ遅かった。坂道を駆け降りてくる人と、僕はもろにぶつかってしまった。
「うわ!」
「痛てっ!」
 僕のお腹の上に、黒くて大きな双眼鏡が軟着陸する。
 目の前には長い腕、長い脚、身長高めでちょっと猫背、痩せた体にグレーのコート、ぼさぼさの黒髪と澄んだ瞳……そうだ、クリスマスのボランティア公演だ、と僕は唐突に想像した。白いあごヒゲと長い杖をプラスして魔法使いの役を演らせたら、きっと幼稚園児は拍手喝采するだろう。
 初めて見る、それがササウラの勇姿だった。

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笹浦耕[16:30−16:31]

 全速で走りながら怒鳴るなんて、やるもんじゃねーよ実際!
「伊隅──西──いや伊隅!」
 あー喉が痛てえ! でもオレ、アホみてーに怒鳴ってた。怒鳴るしかなかった。
「急げ伊隅っ!」
 もう、こうなったら奴に頼るしかない。だってオレ、茂みの中からすっとんできた邪魔くさいボケ野郎とぶつかって、急停止してたんだもん。伊隅の次はこれかい。なんじゃこりゃ、ってなもんですよ。この界隈じゃあ、なんでもかんでも二回おきんのか?
「ごめん! ちょうど……」やけに馴れ馴れしいボケ野郎。
「こっちこそすんませんね、急いでるんで!──おい伊隅っ!」
 右の坂駆け降りて、神社の手前まですっとんでったら、徳永の赤いコート(いつ着替えたんだよ、ったく)が遠くに見えた。橋だ!
「橋、橋の上! 伊隅っ!」
 待てよ。南側は西たちがおさえてんだ。てことは挟み撃ちできるかも。頼むぜガール軍団!とか思ってたら、
「あれ? もしかしてササウラ……さんですか?」
 女子高生っぽいのが、こっちに駆け寄ってきちゃいましたよ。
「は!? 誰?」

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15×24(イチゴーニイヨン)link two 大人はわかっちゃくれない

新城カズマ

高校2年生、徳永準の自殺予告メールがネットに流出しました。彼を救うべく懸命に彼を探す捜索隊、否応なしに巻き込まれる者、別の思惑を抱くもの、そして殺人鬼まで……!? 15人24時間の大晦日の長編群像サスペンス、こっからが本番です! 読み...もっと読む

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