パート6. そして2vs12 折口歩乃果[16:08−]

自分で自分を安楽死させるのは、ほんとうに、絶対に、どうしても、いけないことなの?――高校2年生、徳永準の自殺予告メールがネットに流出しました。頭脳派、お人好し、リーダー気取り、犯罪者まで入り乱れて彼と彼を導く殺人鬼(?)〈17〉に迫ります! 15人24時間の大晦日から始まる群像サスペンス長編! 読みはじめたら止まれない、ライトノベル史上〈もっとも長い一日〉をご堪能ください。(イラスト:箸井地図)

折口歩乃果 [16:08−16:09]

 目に見えない切っ先で狙いを定め、わたしはプランどおりの会話を、なにげなーくり出していく。
「死んじゃうのって」
「ん?」
「きっと痛いですよねー」
「うーん。そりゃまあ。死に方にもよるんだろうけど」
「まわりにも迷惑かかっちゃうし。親とか悲しむだろうし」
「そう。そこだよな、やっぱ」
 うん。反応よし。いい色だわ。
「あたしだったら、きっと、そんなこと考えても、すぐにやめちゃおうって思っちゃいます」
「うん。だよな。普通そうだよ」
「そう。想像できませんよね」
「想像できないよな」
「でも……それでも自殺したがるってことは……よっぽどつらかったんでしょうね、徳永くん」
「ん?」
「だって」さあ、ここが肝心だ。「死ぬことが悪いことだってわかってて……親を悲しませるってわかってて……それでも・・・・やらなくちゃいけないってことは、ですよ。本当にとってもつらいことがあって、もう生きていけないんだ、ってことじゃないですか」
 そうなんだ。
 やらなくちゃいけない ・・・・・・・・・・
 耐えられないほどの苦痛。普通のあたしたちには想像もつかない苦行。周囲を悲しませざるをえないほどの。
 そういうイメージでジュンくんの気持ちを捉え直す。捉え直させる。
 死ぬのは苦しいこと、迷惑なこと、いけないこと──だったら、それを敢えてやろうって決心したってことは、きっと死ぬこと以上に苦しいことがあったに違いない。
 死の苦痛を、大きく想像すればするほど。
 それを敢えて望む理由は、もっと大きく映る。
「なにか、きっと……あたしたちには想像もつかないくらい苦しいことが」

 そう。
 あたしがエミリとメールで議論した成果は、そこなのだった。

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15×24(イチゴーニイヨン)link two 大人はわかっちゃくれない

新城カズマ

高校2年生、徳永準の自殺予告メールがネットに流出しました。彼を救うべく懸命に彼を探す捜索隊、否応なしに巻き込まれる者、別の思惑を抱くもの、そして殺人鬼まで……!? 15人24時間の大晦日の長編群像サスペンス、こっからが本番です! 読み...もっと読む

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