東京・市谷に、ミヅマアートギャラリーはあります。山口晃、天明屋尚、鴻池朋子……。ここに所属しているのは、日本らしさを感じさせる作風と圧倒的な技量、強烈な個性を持つアーティストばかり。なかでもその代表格が会田誠です。好んでエログロな絵を描き、平然と世のタブーに踏み込む姿には清々しささえ漂います。2012年に開かれた森美術館での大規模個展「天才でごめんなさい」では、“18禁”の展示室まで出現し、話題と反響をふりまきました。常識の枠内に収まっているようでは表現など為し得ない、そんなことを再確認させてくれるアーティストですね。
ミヅマアートギャラリーで、会田誠の新作個展がはじまりました。「もう俺には何も期待するな」との展名は、メインの出品作とはあまり関連がないかもしれません。本来は絵描きである会田ですが、今回は映像作品が主となっています。《土人@男木島》と題されたもので、昨年の夏に瀬戸内海の男木島で撮影した映像から成ります。
会田は監督、脚本、撮影、編集を手がけているのですが、これがおよそアート作品らしくありません。設定は、男木島を過疎化が進んだ架空の島に見立て、そこに先住民族が細々と暮らしているというもの。ストーリーは、テレビのクイズ番組レポーターが島を訪れて、先住民の生態を追いかけるかたちで進みます。
《土人@男木島》 2013 ビデオ(約50分)ⓒAIDA Makoto / Courtesy Mizuma Art Gallery
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