第1章 人に嫌われることを恐れていた頃の話 Vol.1 青春と生存戦略

空気なんて読まなくていい。人に嫌われてもいい。友だちなんていらない。そんな「覚悟」が人生を変えてくれる――容姿や能力に自信が持てず、他人の目ばかりを気にしていたぼくが、なぜ「今」勇気を持てているのか? 何者でもないのに、何者をも恐れなくなったプロブロガーの仕事術を公開する本『なぜ僕は「炎上」を恐れないのか』が2月18日発売決定! 臆病だったぼくにもできた。だから、あなたに「今」その勇気がないのは、絶対にあなたのせいじゃないんだ ――。全原稿を月・木の週2回で連載。

『第0章 ぼくが「炎上」するたった一つの理由』を読む

自分を殺して「空気」を読む自分

 いまでこそ、「人に嫌われることなんて恐れる必要はない」「人の目なんて気にすることなく、どんどん自分の意見を発表していこう」「そうすることで、社会の多様性を明らかにし、閉塞感溢れる日本社会をアップデートしていくんだ!」と、声高に叫んでいるぼくですが、そもそもは20年あまり、周りの空気を読みに読みながら生きてきた人間でした。
 特に小学生の頃は、自分の容姿にも、能力にも、体力にも自信を持つことができなかったため、人一倍シャイで、臆病で、人前で何かをすることを常に恐れていました。
 新しい友だちを作るのも苦手で、クラス替えのたびに憂うつな気分になったことを覚えています。特に、女子と話すことは、19歳のときに今の妻と出会うまで、苦手でありつづけました(不思議なほど気が合う妻と出会えたのは、本当に運がよかったです)。

 そんなぼくが、学生時代という、人間関係の残酷さが剥き出しになる閉じられた世界で、自己防衛のために取った戦略。それが「キャラづくり」という方法でした。
 ぼくは小学校から大学まで一貫して、あだ名が「先生」でした。これは意識的に勝ち取ってきたポジションです。ぼくはたまたまゲームに詳しく、筆記テストやパソコン操作が得意だったため、さらに「先生」キャラとして自分を位置づけるように努力しつづけました。学生時代、常に「先生のような知識を持っているやつ」と周囲から認識されるよう努力をしつづけていたということです。それがぼくなりの生存戦略でした。

シャイでコミュニケーションが苦手

 幼い頃からぼくは、何かに没頭する癖があり、流行のゲームについては人一倍のめりこみ、いつの間にか「クラスで一番ゲームに詳しい人間」になっていることが多々ありました。 「イケダはゲームに詳しい」というポジションが一度できると、男子生徒たちが不思議と周囲に集まってきます。
 「オメガと神竜(*1)がぜんぜん倒せないんだけど、イケダ倒し方知ってる?」「ミュウ(*2)の増殖方法知ってるって聞いたけど、教えてくれる?」「スマブラ(*3)ってどのキャラが一番強いと思う?」などなど、昼休みになると、あまり話したことのない男子生徒たちも、ぼくのレクチャーを受けに教室に訪れてくれました。

(*1)オメガと神竜……スクウェア(現スクウェア・エニックス)から発売されたRPGゲーム『ファイナルファンタジー』シリーズに登場する隠れボスキャラクター。ラスボス(正式なボスキャラ)よりも強い。

(*2)ミュウ……任天堂から発売されたゲーム『ポケットモンスター』シリーズに登場する隠しキャラクター。シリーズ初期作品である『ポケットモンスター赤・緑』では幻のポケモンと言われており、裏ワザを使わなければ出現しない。

(*3)スマブラ……任天堂から発売されたゲーム『大乱闘スマッシュブラザーズ』の略。『スーパーマリオブラザーズ』のマリオや『星のカービィ』のカービィ、『ポケットモンスター』のピカチュウなど、任天堂の過去作品の人気キャラクターが多数登場する対戦型アクションゲーム。

 学校という空間、とくに、小学生くらいの教室内の男子の価値観とは不思議なもので、非生産的なことに長けているほど、周囲から尊敬されるものだったのです。そういう学校生活を送るなかで、子ども心に「このポジションは美味しいぞ」と気づきました。
 こちらから頑張ってコミュニケーションを取らなくても、ぼくの知識を求める人たちが「勝手に」集まってくる。こういう戦略で生きていけば、シャイでも、コミュニケーションが苦手でも、けっこうなんとかなるんじゃないか? そう考えました。
 なんだかこう書くと、すごく打算的で腹黒い嫌な子どものように見えるのですが、小学生当時のぼくはぼくなりに必死だったのです。人とうまく接することができない自分に強烈な劣等感を抱いていましたし、みんなが当たり前にできるコミュニケーションの半分もできていない自分は、なんてダメなやつで、この先ずっと同じような苦しみが続いていくんじゃないかと恐怖する毎日でした。
 ですから、一人の時間を頑張ることで、人とつながれるなんて……、そんなコペルニクス転回的発想は、衝撃的なものでした。これはあたかも、空から垂らされた一本の蜘蛛の糸のようで、「あぁ、これならやっていける」「これならぼくは苦しまないで済むかもしれない」と、一縷の望みを、ぼくに与えてくれるものでした。

トレーニングデイズ

 そんなこんなで、ぼくの、自分が没頭できるゲームやインターネットの知識に関しては、常に一流であろうと努力する毎日がはじまったのです。
 ただ、それだと単なるオタクにすぎないので、筆記テストでもよい成績を収められるよう勉学にも励みます。ゲームの達人だけではただのオタクどまりですし、勉強ができるだけではただのガリ勉になってしまう。ぼくは、遊びと学びの二刀を磨くことで、徐々に「先生」と呼ばれる地位を確立していきました。
 「先生キャラ戦略」は、功を奏し、ぼくは自然と周囲から「一目置かれる」存在になっていきます。
 なぜかいつもイケダハヤトの周りには男子生徒が群がり、情報を貰おうとしている。何がすごいのかはわからないけれど、イケダハヤトというやつは、どうも他の人間とはちょっと違うらしい。ついでにあいつは、勉強もけっこうできるらしい……。

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イケダハヤト

空気なんて読まなくていい。人に嫌われてもいい。友だちなんていらない。そんな「覚悟」が人生を変えてくれる――容姿や能力に自信が持てず、他人の目ばかりを気にしていたぼくが、なぜ「今」勇気を持てているのか? 何者でもないのに、何者をも恐れな...もっと読む

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コメント

IHayato 感謝です! 4年以上前 replyretweetfavorite

gevvoihorry この記事読んで、早速Amazonで予約注文しちゃった。 "@cakes_news: 『なぜ僕は「炎上」を恐れないのか』|" 4年以上前 replyretweetfavorite

IHayato やります!すみません! "@masumasu_o イケダさん、ケイクス連載のことぜひブログでも取り上げて下さい^^ https://t.co/CIBJmOnz3b" 4年以上前 replyretweetfavorite

masumasu_o イケダさん、ケイクス連載のことぜひブログでも取り上げて下さい^^ https://t.co/S1xRepXeuT 4年以上前 replyretweetfavorite