第四講 文章のカメラワークを意識する

前回までの講義で、論理的な文章についてはある程度クリアすることができました。そこで今日から2週にわたって、「論理的に書かれた文章を、どう構成するか?」を考えていきたいと思います。小論文やエントリーシート、またはブログなど、少しでも長めの文章にはそれなりの構成力が必要です。(『20歳の自分に受けさせたい文章講義』より加筆・修正)

文章のおもしろさは構成で決まる

 文章の構成について、ひとつわかりやすい例を挙げましょう。
 新作映画の公開が近づくと、出演者たちはさまざまなメディアに登場して、積極的な告知活動に励みます。そして記者やライターたちは彼らにインタビューをおこない、原稿を書くわけです。
 素材(出演者)は同じです。さらに語られる内容も、ほとんど同じでしょう。「映画の見どころ」「自分の役どころ」「監督の印象」「現場でのエピソード」「ファンへのメッセージ」などです。
 しかし、でき上がる原稿は書き手によってまるで違ったものになります。
 明日にでもその映画を観たくなるような原稿、出演者個人への興味をくすぐるような原稿、あるいは情報を羅列しただけの原稿。おそらく、10人のライターがいたら10通りの原稿ができ上がるでしょう。
 なぜなら、書き手によってそれぞれ論の進め方が違うからです。取材で出てきたどの言葉をチョイスし、どこから話をはじめ、どんな言葉で締めくくるか。論の進め方、すなわち構成が変わると、文章のおもしろさ、読みやすさ、リズムにも明確な差が出てきます。しかもここには客観的な正解がありません。

 そこで小論文やエントリーシートの指南書では、大きな枠組みとして「序論、本論、結論」による3部構成が推奨されています。導入としての序論があって、メインとなる本論があって、最終的な結論がある。なるほど、たしかにスッキリした構成です。

 でも正直な話、なんだかよくわからないと思いませんか?
 少なくとも高校時代のぼくは、わかりませんでした。下手に意識するほど「序論ってなに?」「本論ってどういうこと?」「結論ってどう書くの?」と、頭が混乱していました。いきなり序論だの本論だのと言われても、具体的なイメージが湧きません。
 これが「起承転結」ならいいでしょう。起承転結には、四コマ漫画というとびきりのお手本があります。でも「序論、本論、結論」にはお手本らしいお手本が見当たらない。どこからどう書けばいいのか、うまくイメージできない。
 そこで今回、みなさんにおすすめしたいのが映画です。映画をはじめとする映像作品のなかに、構成のイロハを学ぶのです。

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「話せるのに書けない!」を解消してくれる新書として話題となった『20歳の自分に受けさせたい文章講義』。著者の古賀史健さんが、cakes読者のために、そのエッセンスを抜き出したダイジェスト版の文章講義をお届けします。

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