文章のおもしろさは構成で決まる
文章の構成について、ひとつわかりやすい例を挙げましょう。
新作映画の公開が近づくと、出演者たちはさまざまなメディアに登場して、積極的な告知活動に励みます。そして記者やライターたちは彼らにインタビューをおこない、原稿を書くわけです。
素材(出演者)は同じです。さらに語られる内容も、ほとんど同じでしょう。「映画の見どころ」「自分の役どころ」「監督の印象」「現場でのエピソード」「ファンへのメッセージ」などです。
しかし、でき上がる原稿は書き手によってまるで違ったものになります。
明日にでもその映画を観たくなるような原稿、出演者個人への興味をくすぐるような原稿、あるいは情報を羅列しただけの原稿。おそらく、10人のライターがいたら10通りの原稿ができ上がるでしょう。
なぜなら、書き手によってそれぞれ論の進め方が違うからです。取材で出てきたどの言葉をチョイスし、どこから話をはじめ、どんな言葉で締めくくるか。論の進め方、すなわち構成が変わると、文章のおもしろさ、読みやすさ、リズムにも明確な差が出てきます。しかもここには客観的な正解がありません。
そこで小論文やエントリーシートの指南書では、大きな枠組みとして「序論、本論、結論」による3部構成が推奨されています。導入としての序論があって、メインとなる本論があって、最終的な結論がある。なるほど、たしかにスッキリした構成です。
でも正直な話、なんだかよくわからないと思いませんか?
少なくとも高校時代のぼくは、わかりませんでした。下手に意識するほど「序論ってなに?」「本論ってどういうこと?」「結論ってどう書くの?」と、頭が混乱していました。いきなり序論だの本論だのと言われても、具体的なイメージが湧きません。
これが「起承転結」ならいいでしょう。起承転結には、四コマ漫画というとびきりのお手本があります。でも「序論、本論、結論」にはお手本らしいお手本が見当たらない。どこからどう書けばいいのか、うまくイメージできない。
そこで今回、みなさんにおすすめしたいのが映画です。映画をはじめとする映像作品のなかに、構成のイロハを学ぶのです。