第八講 自分に自分でツッコミを入れる

前々回の講義では「説得から納得へ」という話のなかで、提案型の文章について紹介しました。読者に「?」を提案し、そこに「!」の解を与える、というスタイルです。そこで今回はもう一歩踏み込んで、より納得感を高める「自分ツッコミ」の文章を紹介したいと思います。(『20歳の自分に受けさせたい文章講義』より加筆・修正)

隙のない文章は息苦しい

 本講義の1回目「あなたはなぜ文章を書くのか?」のなかで、読者は必ず反発するものだ、という話をしました。文章を書くこととは、読者を動かさんとする力の行使であり、押された読者は必ず反発する。それはちょうど物理の授業で習った「作用・反作用の法則」のようなものだ、といった話です。
 こう書くと「いっさいの反論を受けつけないような、付け入る隙のないほど完ぺきに理論武装した文章を書くべきだ」と思われるかもしれませんが、そうではありません。あなたがどれほど理論武装した文章を書いていようと、読者は論理ではなく感情のレベルで反発します。
 そしてそもそも、反発とは読書のおもしろ味を深めてくれるものなのです。

 仮にあなたが「いっさいの反論を受けつけないような主張」を聞かされたとして、楽しい気分になれるものでしょうか?
 これは語り手のレベルや語り口にもよると思いますが、多くの場合こうした隙のない文章には息苦しさや窮屈さを感じるものです。それよりむしろ、ほどよい隙がある文章、平たい言い方をするなら「ツッコミどころのある文章」のほうが、前のめりになって読めます。なぜならわれわれは抗しがたいほどの「ツッコミ欲」を抱えているからです。

読む文章から対話する文章へ

 ツッコミ欲とはなにか?

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文章ってそういうことだったのか講義

古賀史健

「話せるのに書けない!」を解消してくれる新書として話題となった『20歳の自分に受けさせたい文章講義』。著者の古賀史健さんが、cakes読者のために、そのエッセンスを抜き出したダイジェスト版の文章講義をお届けします。

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