萩原俊矢(ウェブデザイナー)→須藤健一(国立民族学博物館)Vol.3「デジタル化は進んでいますか?」

今回のインタビュアーは、「カンバセーションズ」のサイトデザインを手がけるcookedのメンバーであり、普段はフリーランスのWebデザイナーとして活動している萩原俊矢さん。そんな萩原さんがインタビューするのは、大阪・国立民族学博物館(通称:みんぱく)の館長で、文化人類学者の須藤健一さん。来たる2月19日からは東京・国立新美術館で『イメージの力―国立民族学博物館コレクションにさぐる』を開催予定の須藤館長に、萩原さんが独自の視点で迫ります。

デジタル化は進んでいますか?

Q. 先ほど展示を見た後に、「ビデオテーク」のそばにあるタッチパネルを触らせてもらったのですが、展示内容や位置、映像資料、参考文献などのデータが詳細に記された非常に丁寧なアーカイブで衝撃を受けました。今後ネットからもこういうものを使えるようにするという構想はあるんですか?

須藤:これは3年前に作った「イメージファインダー」というものなんですが、すでにネットでも1万点の展示品の写真や場所、年代などの簡単な情報は見ることはできます。それ以上の30万点あまりのデータも内部では持っているのですが、データの精度にばらつきがあるので、今後拡充していく必要があるんですね。また、自分たちの博物館だけではなく、世界の博物館同士が持っている情報を集め、交換し、世界中の人たちがアクセスできるようなシステムを作るという構想も進めています。博物館は、モノを「所有」しているのではなく、「管理」しているだけという考え方がベースにあるのですが、ヨーロッパなどの博物館は、植民地時代に現地から強引に集めたものなどもあって、なかなか難しいところがある。そこで我々のように現地の人としっかり契約をしてモノを収集している博物館が音頭をとって、アメリカのインディアンの博物館や、アフリカの博物館などと一緒にデータを共有しながら、足りないものは現地の人たちに聞いて拡充していきましょうというプロジェクトです。


直感的な操作で展示物情報を検索できる「イメージファインダー」。

Q.世界中のバラバラな場所にあるモノを、写真や情報としてネット上に収集していくという考え方ですね。

須藤:そうですね。一般の人や研究者がそれぞれのレベルでアクセスできるクラウド型のバーチャルミュージアムを作ろうということです。ただ、言語や著作権の問題など大きな壁があるので、今後何十年かかるかわからないほどの壮大なプロジェクトですね。

Q.凄く興味のあるプロジェクトです。「みんぱく」はLANを引いた時期もかなり早かったと聞いていますが、今後もさらにデジタル化を推し進めていくのですか?

須藤:どんどん進めていきたいですし、そのための専門家も入れました。いま「みんぱく」には34万点の収蔵品の他に、映像や音響の資料が約8万点、書籍は65万冊以上あります。これらの情報をいかに体系化して、外からアクセスできるようにするかというのは今後の課題です。それができなければ、「みんぱく」が持っている情報は宝の持ち腐れになってしまうわけで、そんな税金の無駄遣いはないんです。「博情館」として、モノと情報を外に発信するということが我々に課せられた大きなミッションです。そのなかで今後は情報のコレクションということに力を入れていく必要があると考えています。

文化人類学の醍醐味は何ですか?

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