萩原俊矢(ウェブデザイナー)→須藤健一(国立民族学博物館)Vol.1研究を始めたきっかけは何ですか?

今回のインタビュアーは、「カンバセーションズ」のサイトデザインを手がけるcookedのメンバーであり、普段はフリーランスのWebデザイナーとして活動している萩原俊矢さん。そんな萩原さんがインタビューするのは、大阪・国立民族学博物館(通称:みんぱく)の館長で、文化人類学者の須藤健一さん。来たる2月19日からは東京・国立新美術館で『イメージの力―国立民族学博物館コレクションにさぐる』を開催予定の須藤館長に、萩原さんが独自の視点で迫ります。

研究を始めたきっかけは何ですか?

Q.須藤館長はオセアニア研究が専門ということですが、どんなきっかけでリサーチをするようになったのですか?

須藤:1970年に大阪万博が開催され、その跡地に世界中の人々の生活用具、彫像や仮面など民族資料を集めた博物館を作ろうというところから「みんぱく」が生まれたわけですが、その時に若手の研究者たちが世界中に派遣されたんですね。その5年後、沖縄の本土復帰を記念した「沖縄国際海洋博覧会」というものが75年に開催されることになったんです。私は太平洋地域の人々の生活文化を伝えるという目的でスタートしたこのプロジェクトに携わることになって初めて行った海外が、ヤップやチュークなどの島々でした。そこで半年近く現地の人たちと生活を共にしながらフィールドワークをして、人間とモノの関係性を押さえた上で、海に暮らす人々の文化を「海洋博」で展示するということをしたんです。

Q.世界にはさまざまな地域や民族があるなかで、オセアニアに興味をも持った特別な理由はあったのですか?

須藤:日本には、長男が跡継ぎをする家父長制度がありますが、太平洋地域や台湾などには、女性の血のつながりによって家族が作られたり、土地が相続されていく母系社会というものがあります。すでに台湾を研究している人はいたので、自分は太平洋に行ってみたいなと。現地では、島の男がすることをひと通り一緒に経験して、ホームステイ先では長老から家族の系譜や歴史などを聞きました。母系社会では、父親は自分の子供に決して手を出してはいけないから、子供のしつけをするのは母親のお兄さん、つまり母方のおじさんなんですね。女性は財産や家庭を守る存在なのですが、母系社会の中でも日常的に力を持つのは結局男性なんです。そこでわかったことは、子供を生めない男性というのは生物学上弱い存在で、だからこそ自分たちで制度を作って権力を主張したり、威張るしかなかったという人類の歴史があるんだということでした。


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