広くて狭い僕の世界

重度の自閉症を抱えながらも、社会を鋭く見つめている作家・東田直樹さんの連載です。
幼い頃から、自閉症特有の困難さのため人とうまく向き合えず、息苦しさを感じていたという東田さん。今は、いくらか怖さがやわらぎ、心が解放される瞬間にも出会うことができたようです。
皆さんは、どうしても怖いものや、息苦しくなる状況などと、どう向き合っているのでしょうか。静かな冬の夜にぴったりの、今回のコラムです。

 小さい頃、僕はいつも一人で遊んでいました。
 砂をさらさら落とし続けたり、流れる水に見とれたり、他の人から見れば、まるで意味のない遊びを繰り返していたのです。

 人と関わるのが苦手だった僕にとって、一人遊びは、自分を守るための時間だったような気がします。
 僕にはこの世界が、息苦しいだけの場所だったからです。

 振り返ってみると、どうしてあんなにも人から逃げ回っていたのかわかりません。
 たぶん、周りの人が全て、僕とは違う種類の人間に思えてしかたなかったのでしょう。

 いまだに講演会などで他の土地に行くと、心が解放された気分になります。誰も僕を知らないという状況が心地いいのだと思います。

 旅先で感じることは、そこで暮らしている人にとっては、僕も風景の一部のようなものだということです。人でなくてもいいと感じる瞬間が、僕に活力を与えてくれます。

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跳びはねる思考—22歳の自閉症作家が見た世界

東田直樹

「僕は、まるで壊れたロボットの中にいて、操縦に困っている人のようなのです。」 会話ができないもどかしさや意に沿わない行動をする身体を抱え、だからこそ、一語一語を大切につづってきた重度自閉症の作家・東田直樹。 小学生の頃から絵本...もっと読む

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