先日加寿子さんと話したことで、ほかにも判明したことがある。
たまに「二階奥」の隣の部屋に来る加寿子さんの息子さんらしき人は、やはり息子さんだったということ。住みはじめてから五年、つぎつぎと明らかになる加寿子荘の真実!
息子さんは東京近郊の小都市に住んでいるのだが、ひとりぐらしの母を気づかって週に二、三回、金曜日は決まって毎度、加寿子荘に来る。そして、加寿子さんが洗濯物干しに使っている二階の空き部屋に泊まっていくのです。
思い返せば、加寿子荘に出戻りをしてすぐのころ、この建物にそぐわないくらい元気な子供たちの声を聞いたことがある。声から判断すると小学生の男の子が二人くらい。バタバタと階段をのぼったりおりたり、空き部屋に入ってふざけあったりしているので、もしかして加寿子さんにはお孫さんがいるのかな、なんて思ったりした。その後そんな声を聞くことがなかったのでなんとなく忘れていたけれど、やっぱりお孫さんだったんだね。加寿子さんの家族構成も少しずつ見えてきている。
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