カダフィ(リビア革命政権最高指導者)【第2回】ナセルに触発された青年時代

悪の親玉としてイメージされがちな「独裁者」たち。この連載では、世界の独裁者たちが、若い頃にどのような知識や価値観、思想などの「教養」を得て、それをどう国家支配に反映させたのかを読み解いてゆきます。遊牧民の英雄譚を聞かされて育ったカダフィは、秘密結社を結成して中学を退学になるような「早熟」な青年でした。(『独裁者の教養』より)

カダフィの名は、比較的原音に近い表記ではムアンマル・アル・カッザーフィーという。

1942年ごろ、彼はリビア北中部のシルト近郊に暮らすベドウィン、カッザードファ族のテントで生まれた。日時にこだわらない砂漠の民の出身であり、正確な生年月日は不明だ。だが、リビアを舞台にドイツ・アフリカ軍団とイギリス戦車部隊の激戦が繰り広げられた第二次大戦時期の生まれなのは確かだという。

カダフィは末っ子で、両親の唯一の男の子だった。父と母は文字が読めなかったが、彼をかわいがってベドウィンの説話やアラブの英雄譚を熱心に語り伝えた。砂漠の夜は長く、カダフィは夜な夜な遊牧民の口承文学—。すなわち、文字通りの“アラビアン・ナイト”を聞かされて育った。なかでも、特にカダフィの心をとらえたのは、彼の祖父で「反イタリア戦争の英雄」として知られるアブー・ムニールの伝説だった。

この続きは有料会員登録をすると
読むことができます。
cakes・note会員の方はここからログイン

1週間無料のお試し購読する

cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。

人気の連載

おすすめ記事

ジセダイ by 星海社新書

この連載について

初回を読む
独裁者の教養

安田峰俊

悪の親玉としてイメージされがちな「独裁者」たち。しかし、彼らは優れていたからこそ「独裁」を行えたはずです。そこで、この連載では、世界を代表する独裁者たちが、若い頃にどのような知識や価値観、思想などの「教養」を得て、それをどう国家支配に...もっと読む

この連載の人気記事

関連記事

関連キーワード