パート5. 大人はわかっちゃくれない 三橋翔太[15:00]徳永準[14:28−]

まあ世の中ようしたもんで、〈死にかけ〉には〈死にかけ〉の役回りってものがあるんでなあ――高校2年生、徳永準の自殺予告メールがネットに流出しました。頭脳派、お人好し、リーダー気取り、犯罪者まで入り乱れて彼と彼を導く殺人鬼(?)〈17〉に迫ります! 15人24時間の大晦日から始まる群像サスペンス長編! 読みはじめたら止まれない、ライトノベル史上〈もっとも長い一日〉をご堪能ください。(イラスト:箸井地図)

三橋翔太[15:00]

「──だぁほっ!」
 ってゆったのは「ふぁぶり」だった、だから「いんじゃんじょお」のナイフいっしゅんだけ止まった。
 やっぱりだ。こいつ、まだ騒ぎなしですまそおとしてやがる。
 あめえってんだよ!
「逃げろ!」
 おれがトウコにいう、まずはトウコだ、とにかくそっちが先だ。
 おれは左手のばした。ベル鳴らした。もおむちゃくちゃ鳴らした。あのウェイトレスとかよぶベルだ、ぜんぶのテーブルにいっこずつある。そしたら「いんじゃんじょお」がおれ見て「ふぁぶり」見てまたおれ見た。こんらんしてやがる。
 攻撃すんなら今しかねい。けど「ふぁぶり」はよせっつってる。しかも関西べんでゆってる。だから「いんじゃんじょお」びびってる。けどおれはベル鳴らしてる。もお大事にしてる。しかかってる。さあどおする「ふぁぶり」よ。
 ウェイトレスが来た!
「逃げろっ!」
「でっ、でも──」
「はやく!」
「は、はいっ!」
 トウコがするって抜ける、「ふぁぶり」の脇の下から抜ける、テーブルに立つ、テーブルの上にだ、それで「ふぁぶり」の手とナイフ握ってるおれの腕の上ぴょんぴょんてまたいで渡る。震えてる。「ふぁぶり」が右手のケータイ捨ててトウコの足首つかもうとすんのをおれの左手がつかむ。外側へむかって捻る。ケータイが床にころがる。
 腕二本対脚一本。二対一だ。
 まだおれのほうがプラス一だ。
 そしたらウェイトレスがそういうのはおやめください!とかゆった、大声だった、トウコがよろけながらテーブルから降りてウェイトレスにぶつかった。
「ふぁぶり」がむりやり立ち上がろうとした、体が傾いた、しめた、だから一撃だ。
 体潜らして、テーブルの下でだ、半分捻りながら、おもいっきり右の踵でやつのすねと膝の皿の間んとこに一撃だ。
 やつの膝関節が逆に曲がる。

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15×24(イチゴーニイヨン)link two 大人はわかっちゃくれない

新城カズマ

高校2年生、徳永準の自殺予告メールがネットに流出しました。彼を救うべく懸命に彼を探す捜索隊、否応なしに巻き込まれる者、別の思惑を抱くもの、そして殺人鬼まで……!? 15人24時間の大晦日の長編群像サスペンス、こっからが本番です! 読み...もっと読む

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