三橋翔太[15:00]
「──だぁほっ!」
ってゆったのは「ふぁぶり」だった、だから「いんじゃんじょお」のナイフいっしゅんだけ止まった。
やっぱりだ。こいつ、まだ騒ぎなしですまそおとしてやがる。
あめえってんだよ!
「逃げろ!」
おれがトウコにいう、まずはトウコだ、とにかくそっちが先だ。
おれは左手のばした。ベル鳴らした。もおむちゃくちゃ鳴らした。あのウェイトレスとかよぶベルだ、ぜんぶのテーブルにいっこずつある。そしたら「いんじゃんじょお」がおれ見て「ふぁぶり」見てまたおれ見た。こんらんしてやがる。
攻撃すんなら今しかねい。けど「ふぁぶり」はよせっつってる。しかも関西べんでゆってる。だから「いんじゃんじょお」びびってる。けどおれはベル鳴らしてる。もお大事にしてる。しかかってる。さあどおする「ふぁぶり」よ。
ウェイトレスが来た!
「逃げろっ!」
「でっ、でも──」
「はやく!」
「は、はいっ!」
トウコがするって抜ける、「ふぁぶり」の脇の下から抜ける、テーブルに立つ、テーブルの上にだ、それで「ふぁぶり」の手とナイフ握ってるおれの腕の上ぴょんぴょんて
腕二本対脚一本。二対一だ。
まだおれのほうがプラス一だ。
そしたらウェイトレスがそういうのはおやめください!とかゆった、大声だった、トウコがよろけながらテーブルから降りてウェイトレスにぶつかった。
「ふぁぶり」がむりやり立ち上がろうとした、体が傾いた、しめた、だから一撃だ。
体潜らして、テーブルの下でだ、半分捻りながら、おもいっきり右の踵でやつの
やつの膝関節が逆に曲がる。
cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。