パート5. 大人はわかっちゃくれない 私市陶子、渡部亜希穂[15:00]

そのとたん、いろんなことがブワーッといっぺんにおこったのよね。でも、そんなのはまだ本当の騒ぎの始まりの始まり、くらいのちっちゃい部分だったのよ――高校2年生、徳永準の自殺予告メールがネットに流出しました。頭脳派、お人好し、リーダー気取り、犯罪者まで入り乱れて彼と彼を導く殺人鬼(?)〈17〉に迫ります! 15人24時間の大晦日から始まる群像サスペンス長編、link oneに引き続きこっからが本番! 読みはじめたら止まれない、ライトノベル史上〈もっとも長い一日〉をご堪能ください。(イラスト:箸井地図)

私市陶子[15:00]

 その瞬間、多くのことが同時におこったのです。
「──人の趣味を冗談呼ばわりするのは、良くない態度だなあ。じゃ、これから別件で電話しなきゃいけないから、またね!」
 ファブリさんはたのしげにおっしゃって、ササウラさんとのお話を終えられました。そして、そのまま私の携帯の数字ボタンを押し始められたのです。
「あ、これ?」
 私の目線に、彼は答えてくださいました。
「おじさんたちが探してる例の携帯電話にね、一時間にいっぺん、かけてみてるんだよ。ほら、どこかの親切な人が拾ってくれてるかもしれないからさ。さっき言った若手には五分おきにやらせてるんだけど……どうやら電源がオフになってるらしくって、今朝から一度もつながらなくてねえ。でもまあ万一ということも──」
 そして彼はふと、右のほう、つまり店の奥の喫煙席のほうに目をやったのです。
 私もまったく同時に、そちらのほうを見やります。
 なぜといって、そこでは女のかたが一人、何の前触れもなく立ち上がり、
「……あたし! いやです! サインしません!」
 と大声で怒鳴ったからなのです。
 けれど、ほんとうにびっくりしたのは、そのことではありません。

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15×24(イチゴーニイヨン)link two 大人はわかっちゃくれない

新城カズマ

高校2年生、徳永準の自殺予告メールがネットに流出しました。彼を救うべく懸命に彼を探す捜索隊、否応なしに巻き込まれる者、別の思惑を抱くもの、そして殺人鬼まで……!? 15人24時間の大晦日の長編群像サスペンス、こっからが本番です! 読み...もっと読む

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