徳永準[14:03]
なんだ、この書き込み。『
ものすごい勢いで増えている。ぼくの頭の中でも、何かが増えていく、増えていく。ぐるぐると回転している。わからない、何もわからない。
ひとつだけ確かなのは。
ぼくが自殺することを……17さんと一緒に死のうとしてることを、みんなに知られてるってこと。
なんでなんだ。いったいどうして、こんなことになったんだ。
ぼくは──ぼくはただ単に、死にたいだけなのに!
私市陶子[13:50−14:04]
ミツハシさんは、とても良くしてくださいました。
本当の紳士とは、こういう方を指すのではないでしょうか。もちろん、先生も本当の紳士ですけど。だって先生は、私の妊娠のことを告げますと、ほとんど
ミツハシさんはお茶を煎れてくださったり、座布団を持ってきてくださったり、なんだかお姫さまにでもなったような気分です。
事件の始まりは、私が徳永さんの蔵書を調べている時でした。ノブさんが持ってきた、あの文庫本です。そのなかの一冊、『マリオンの壁』という小説の上巻の中ほどに、こんな紙片が挟まっていたのです。
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