パート5. 大人はわかっちゃくれない 徳永準[14:03]私市陶子[13:50−]

どうして? 誰が? わからない、何もわからない。ひとつだけ確かなのは、ぼくが自殺することを、みんなに知られてるってこと――高校2年生、徳永準の自殺予告メールがネットに流出しました。頭脳派、お人好し、リーダー気取り、犯罪者まで入り乱れて彼と彼を導く殺人鬼(?)〈17〉に迫ります! 15人24時間の大晦日から始まる群像サスペンス長編、link oneに引き続きこっからが本番! 読みはじめたら止まれない、ライトノベル史上〈もっとも長い一日〉をご堪能ください。(イラスト:箸井地図)

徳永準[14:03]

 なんだ、この書き込み。『香具師やし』って。たしか夜店で物を売ったりする人のことだ。それがぼく? どうして? 誰が?
 ものすごい勢いで増えている。ぼくの頭の中でも、何かが増えていく、増えていく。ぐるぐると回転している。わからない、何もわからない。
 ひとつだけ確かなのは。
 ぼくが自殺することを……17さんと一緒に死のうとしてることを、みんなに知られてるってこと。
 なんでなんだ。いったいどうして、こんなことになったんだ。
 ぼくは──ぼくはただ単に、死にたいだけなのに!

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私市陶子[13:50−14:04]

 ミツハシさんは、とても良くしてくださいました。
 本当の紳士とは、こういう方を指すのではないでしょうか。もちろん、先生も本当の紳士ですけど。だって先生は、私の妊娠のことを告げますと、ほとんど躊躇ちゅうちょすることなく「結婚しよう!」っておっしゃったのですから。ふつうの男性でしたら、こうはいきません。たいていの人は、やれ「間違いじゃないのか」だの「ろそう」だの「俺の子供かどうか分かるもんか」だの、たいそう酷いことを言うものなのです。いえ、私にそうした経験が豊富だということではありません。ですが、小説などではそういうことになっているのです。本に書いてあることですから間違いありません。
 ミツハシさんはお茶を煎れてくださったり、座布団を持ってきてくださったり、なんだかお姫さまにでもなったような気分です。

 事件の始まりは、私が徳永さんの蔵書を調べている時でした。ノブさんが持ってきた、あの文庫本です。そのなかの一冊、『マリオンの壁』という小説の上巻の中ほどに、こんな紙片が挟まっていたのです。

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15×24(イチゴーニイヨン)link two 大人はわかっちゃくれない

新城カズマ

高校2年生、徳永準の自殺予告メールがネットに流出しました。彼を救うべく懸命に彼を探す捜索隊、否応なしに巻き込まれる者、別の思惑を抱くもの、そして殺人鬼まで……!? 15人24時間の大晦日の長編群像サスペンス、こっからが本番です! 読み...もっと読む

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