魚介のうま味たっぷり! おなかにやさしい「甘塩鱈とえびごはん」[第33回]

年末年始はやっぱりたくさん食べちゃいましたか? 忘年会から始まって、お正月のおせちやお雑煮、さらにはお屠蘇にビールにワインに焼酎、という生活では、さすがに胃もお疲れ気味でしょう。今年最初のバダさんのレシピは、お腹にやさしいけどちゃんと元気も出る、雑炊のようなおじやのような、魚介類のだしをきかせたお米料理。順調な新年のスタートを切るためにも、ぜひお試しください!

みなさんこんにちは。

爽やかな青空とともに、
2014年が始まりましたね。
今年ものんびりと、
晩酌のおともになるものをご紹介していきたいと思います。

この連載を既に読んで下さっている方は、
「この人、なんでポルトガル料理ばっかりなんだろう」と
不思議に思われている方も多いと思います。
ですよね、だって連載のタイトルはかなりフラットな
「とりあえずビール!」なのに。

最初は私もポルトガルに寄るつもりはなく、
簡単で作りやすいお酒のおつまみをご紹介するつもりだったのですが、
私の中のポルトガルブームがどうにも止まらなくて、
料理にも出ちゃう。その結果です。
だって、ポルトガル料理って不思議なんですよ!
ワインとオリーブオイルを愛するヨーロッパの料理なのに、
米や魚をよく使うし、味つけもおだやか。
日本人に馴染む味が多いんです。
だからつい、夢中になってしまう。
古く戦国時代には、
ポルトガル人のキリスト教宣教師などを通じて
日本に南蛮文化が広まった歴史もあり、
日本の料理に西洋インパクトを与えた最初の国でもある。
だから、知るほどに面白い。
私の中では、まだまだポルトガル料理ブームが終わらないのです。

というわけで、この連載でご紹介するものも、
気がつくとポルトガル料理が多くなっておりますが、
そんな事情も含め、
今年もどうぞよろしくお願いいたしします。

さて、年末年始は
やっぱりたくさん食べちゃいましたか?
忘年会から始まって、年越し蕎麦にお正月のおせちやお雑煮、
故郷のごちそうに誰かのおみやげのお菓子、
ビール、日本酒、ワインに焼酎。
家では朝から
おせちつまむ→飲む→お雑煮食べる→お雑煮おかわり→飲む→おせちつまむ→飲む
のループだった方々は
さすがに胃もお疲れ気味でしょう。
私もできればしばらくの間は、
毎日七草がゆでもいいかも。

いや、訂正。
草しか入っていないお粥じゃ、
さすがに体力も気力ももたないです。
やっぱり何か具が欲しい。

お腹にやさしいけどちゃんと元気も出る、
雑炊のようなおじやのような、
魚介類のだしをきかせたお米料理
「甘塩鱈とえびごはん」はいかがでしょう。

この魚介のおじやのような料理は、
ポルトガルの米料理「あんこうのごはん(Arroz de tamboril)」を
日本で作りやすい材料でアレンジしました。

ちなみにポルトガルのあんこうごはんは、こんな感じです。

迫力の汁だく雑炊。
鍋の後のおじやみたいですよね。
ポルトガル北部のメルガソという町で食べたあんこうごはんです。
まん中の魚の白身があんこうで、他にもえびや玉ねぎ、トマトなどが入っています。
日本の米と違って長くて粘りの少ない長粒種を使っているため、
スープの中でも米が粘りにくく、
サラサラと食べられる。
魚介のうま味たっぷりのスープと米は、日本人も大好きな味です。

ポルトガルにはこういう「んっ? おじや? 雑炊?」という米料理がたくさんあります。
ちなみに、魚介類だけでなく肉と合わせる米料理もいろいろあり、
たとえば鶏と鶏の血で米を煮た「鶏の血ごはん」というものも。

こんな感じで洗面器並みに大きくて深い陶器の皿に、並々とよそわれて登場します。
これに微発泡の北部産ワイン、ヴィーニョヴェルデの赤を合わせるのが現地風。
見た目はこってりですが食べるとそれほどしつこさはなく、
そして食後はやたらと馬力が出ます。
鶏の血のおかげでしょうか。

と、このように、
ポルトガルには米と具を煮る料理が豊富にあるのです。

ちなみにこれはおまけの話ですが、
ポルトガルのお隣りスペインでは、
鍋をオジャ(Olla)と呼びます。
スペインにはコシード、ポルトガルにもコジードと呼ばれる
肉などの具をたっぷりのスープで煮る料理があり、
そのうま味たっぷりのスープを炊いた米にかけたり、
そのスープで米を煮て食べるアレンジもあります。
おじや=オジャとまでは言いませんが、
スペインやポルトガルの汁+ごはん料理と日本のおじやが、
全く別物と言いきるにはちょっと寂しいような。
何か関わりがあるような気がしてなりません。

話はそれますが、有名な博多の郷土料理・鶏の水炊きは、
戦国時代に日本で布教活動をしていた南蛮の宣教師が伝えた、
ポルトガルの鶏のコジード(Frango cozido)の名残とも言われていて、
この残り汁に米を入れたら、
現代の鍋の締めと同じおじやが完成です。

おじや、という言葉の由来は、
ウィキペディアによると室町時代以降の宮中に仕えた女性が使った
女房言葉(頭にお、などを付ける言葉)という説が有力で、
じやじやと煮える様子に、おを付けておじやと呼んだのだそう。
江戸中期に書かれた「物類称呼」という方言辞典には、
ぞうすいの、女性特有の呼び方と紹介されている例もあります。

でもやっぱり、現地で見るとおじやのように見えるのは
偶然なのかなあ……。

と、語源を探るのはこのぐらいにして、
ポルトガル風魚介のおじや、
作っていきましょう。
本当はあんこうを使ってご紹介したいのですが、
旬の冬でさえ、残念ながらあんこうは高いしそんなにポピュラーじゃない。
今の時期に作るなら、
やっぱり安くてどこでも見かける
甘塩の鱈と殻つきのえびが手頃でおすすめです。
甘塩の鱈は、ポルトガルの国民食である干しだら(バカリャウ)を水で戻したものに
も、ちょっと似ているんです。
どちらもうま味のあるだしが出るし、扱いも簡単。
あんこうもたらも、淡白な身はなんとなく似ているし、
米の中でも主張し過ぎないからあっさり食べられますよ。

では、早速「鱈とえびのごはん Arroz de bacalhau e camarao 」
作っていきましょう。
材料はこちらです。

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ポルトガル食堂

馬田草織

ポルトガルや南蛮絡みのエピソードが大好きな編集者・ライターの馬田草織さんが、仕事現場や旅先、日常で気になった食のサムシングと、それにちなむおつまみ&ぴったりなお酒を月替わりでご紹介していく、家飲みも外飲みも楽しむ人へ捧げる至福のほろ酔...もっと読む

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コメント

agyrtria 鱈チリの後にトマト放り込んで、オジヤにしちまう洋風〆をたまにやるんだが、これも旨そうだね。⇒ 3年以上前 replyretweetfavorite