パート5. 大人はわかっちゃくれない 藤堂真澄、渡部亜希穂[12:35−]枯野透[13:00−]

ごめんなさいごめんなさい許してください許してくださいあたし悪気なかったんですケーサツだけはかんべんして――高校2年生、徳永準の自殺予告メールがネットに流出しました。頭脳派、お人好し、リーダー気取り、犯罪者まで入り乱れて彼と彼を導く殺人鬼(?)〈17〉に迫ります! 15人24時間の大晦日から始まる群像サスペンス長編、link oneに引き続きこっからが本番! 読みはじめたら止まれない、ライトノベル史上〈もっとも長い一日〉をご堪能ください。(イラスト:箸井地図)

藤堂真澄[12:35−13:00]

 午後零時三十五分。新宿御苑前で予定外の格闘。腕を極めつつ裸絞め。対手の青年、隙がありすぎ。ただし覚悟もありすぎ。つい本気になる。修行が足りないと反省。
 三十九分、畏れ多くも恩賜おんし公園門前での荒事を心の中で深謝しつつ、近所の某寺に移動完了。青年を介抱するも反応なし。熟睡の様子。いっぽうの女掏摸、早口で事情を語ろうとする。半分はな水混じりで何を言いたいのかよく判らず。
 四十一分、しかたなく熟睡中の青年の携帯電話を開く。最後の着信記録は、格闘の直前。
 四十二分、最後の着信番号にかけると在所惟信ざいしょよしのぶなる人物が応答。ようやく事態の詳細が判明。頭をかかえる。今朝の少年、あれが徳永準だったのは間違いない。とりあえず協力を申し出る。
 無理にでもひきとめておくべきだった。とはいえ、あの時は事情を知る由もない。脳裏に祖父さまが登場して曰く、眼前の相手が自殺志願者や否や、立ち居振る舞いから察し得ずして何とする、そんなことでは危急ききゅうときに以下同文。
 猛省しつつ、三~五班のうち動ける者を大久保・東中野・中野の各駅へ緊急配備。非番の者にも緊急呼集。
 午後一時。熟睡青年、目を覚ます。


渡部亜希穂[12:35−13:00]

 ごごごごめんなさいっ!!
 ──→ごめんなさいごめんなさい許してください許してくださいあたし悪気なかったんですケーサツだけはかんべんしてあたし家出中だしうちの親ケーサツの呼び出しくらってもどうせ来ないし親なんてあたしのこともーどーでもよくなっちゃって今度こそあたしごめんなさいごめんなさい今度こそ学年主任のイシグロのやつがもう次はないぞとかマジメにやらないんだったら学校やめろとかどうせおまえらみたいなのはロクなオトナにならないんだとかそんなんばっかりグループの先輩とか仲間はそうゆうひどいことゆわないからだからあたしいつもいっしょにつきあってピケったりして悪いことでもそんなつもりゼンゼンなくってあたしピケってないですほんとですトオルさんに罪なすりつけようとかそうゆうことはえーと少しは考えたかもしんないけどそんなつもりなかったんですほんとごめんなさいごめんなさいごめ──→

渡部亜希穂[13:30]へ進む


枯野透[13:00−13:08]

 それにしても今日はほんとに、なんべんも眠くなる日だなあ。
 ──違う違うちがう、気絶してたんだよ僕は!
 ようやく記憶が戻ってきた。最後のは、柔道の絞め技みたいだった。あれでふーっと気持ち良くなってしまった。
 ちょっとだけ頭をおこして、あたりを見る。布団、和室、縁側。のむこうは、空の雨雲そっくりな灰色の墓石が群れをなしていて、じいっとこちらを睨み返してきた。
「……どこ、ここ?」

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15×24(イチゴーニイヨン)link two 大人はわかっちゃくれない

新城カズマ

高校2年生、徳永準の自殺予告メールがネットに流出しました。彼を救うべく懸命に彼を探す捜索隊、否応なしに巻き込まれる者、別の思惑を抱くもの、そして殺人鬼まで……!? 15人24時間の大晦日の長編群像サスペンス、こっからが本番です! 読み...もっと読む

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