私には心底「くだらないなぁ」と思っている人たちがいる。会えばまず「何か面白いことない?」と訊いてくる連中であり、二言目には「でっかいことしてえ」とほざく連中であり、「どんどんやってみなはれ」をあくまで他人事として奨励する連中である。彼らに連れられて何か酒を飲むような集まりへ参加すると、自己紹介をする前に、まず彼らにマイクを奪われることが多々ある。
「今日はとっても面白い子を連れて来たから! この子、すっごく変わってる子だから! ちょっと他にはいない感じだから! ほら、キミ、何か言いなよ!」
どうして彼らのことを「くだらないなぁ」と思うかというと、自分自身で「面白さ」を創出する気がまったくないからであり、既存の「面白さ」をある場所へ持ち込んだだけでそれをさも自分の手柄のように振る舞うからであり、その「面白さ」がスベッた(価値を失した)ときにも自分にはまったく非が無いと考えているからである。そこで私はこう挨拶する。
「私は普通の人間です」
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