BLマンガの秘境 vol.1 エロゲ好き男性作家がボーイズラブを読み始めた理由

毎回cakesの倫理コードに挑戦しつづけている作家・海猫沢めろんさん。今回は、担当編集にして腐女子のZBL24(仮名)のゴリ押しにより、BL(ボーイズラブ)マンガについて取り上げることに。とはいえ実は、海猫沢さん自身、現在のBLの源流となった小説雑誌「JUNE」の読者だったという“腐男子”見習いなのです。最近のBLのトレンドがわからない海猫沢さんが、腐海の森の奥深くへと足を踏み入れるために訪ねたのは、BL研究を専門とする社会学研究者の金田淳子さんのお宅。はたしてそこで海猫沢さんを待ち受けるのは、どんなBLたちなのでしょうか? 全4回でお届けしていきます!

海猫沢めろんは闇の圧力に屈しません!

先月お送りした「エロマンガの教養」が大反響!反響しすぎておれの部屋に三段積みにされたマーシャルアンプがフィードバックしまくって目から鮮血が吹き出してルルドの泉あたりで奇跡認定されました!ロッキングオン!そんなアイゴナゴーマイウェイなドレッドヘア黒人ギタリストであるところのおれことめろん先生に与えられたエロマンガに続く今回のミッション……それは……BL……。そう、男同士の愛の物語、それがボーイズラブ!略してBL!スピーカーはJBL!

なぜBLなのか?絶賛婚活中東京大学BL学部卒業24歳編集者(略してZBL24)と、先日このような打ち合わせが行われた。

海猫沢めろん(以下、めろん おかしい……あれだけ気合いを入れた前回のエロマンガ特集なのに……盛り上がるどころか奇怪な生物を観察するような冷たい視線で見られているような気がする……気のせいなのか?世間は狂っているのか?……どういうことなんだ……落ち着け、素数を数えるんだ……はっ!?もしかして……みんな清教徒なのか!?革命!?だがおれはやめない!闇の組織の圧力には屈しない!もういいやとりあえず次回どうしましょうか。

ZBL24 BLマンガを、特集します。

めろん BL、ボーイズラブか……これまた外角低めを狙った絶妙な配球ですな。

ZBL24 BLマンガを特集します。

めろん お、おう……。

ZBL24 B L マ ン ガ を ! 特 集 し ま す !  ※cakes豆知識:ZBL24は美少年がキャッキャウフフしながら水泳するアニメ『Free!』が終わってしまったショックで、舞台となった鳥取に飛び、聖地巡礼をしまくっているのだ。

一週間後。おれとZBL24嬢は田端のとあるマンションの一室にいた。

金田淳子(以下、金田) で……私のところにやってきたと!?

めろん お願いします貴腐人。

紹介しよう。金田淳子……彼女はおれの家からチャリで15分くらいのところに住んでいる東大出身のBL研究者であり、ニコニコ動画や各種媒体で日々男同士の愛について語るBL伝道者でもある。まさに今回の企画にはうってつけの人材なのだ。

金田さんの飼っている猫の「ヒロ」(雌、20歳)。取材中やたら俺に懐いていた。どうやらイケメンが好きらしい。

金田 えーBLつってもいろいろあるんだよなーいきなりオススメつってもなー。

めろん ユリイカのBL特集でブックガイドとかやってたじゃん。


金田 うーん、やったけどさあ……。

ZBL24 先生……これ、お土産です。ケーキです。
※cakes豆知識→ZBL24はカネジュン先生を超尊敬している。

金田 これはご丁寧に……ありがとうございます……でもなあ。BLの定義が「男同士の恋愛や性愛の物語」だとして、そのなかにはすごくいろいろな種類があるわけ。筋骨隆々としたのもあれば、少女マンガっぽいのもあるし。一番売れてるのは『純情ロマンチカ』(注1)ですよ、とかは言えるんだけど、本当に多様だから、それらをすべて代表して「コレがおもしろいです」とは言えないんだよね
注1:中村春菊によるボーイズラブ漫画。現在17巻まで刊行されている単行本は、累計700万部を突破。アニメ化も2回され、映画の公開も予定されている大人気シリーズ。

金田さんが言うとおり、BLとは男同士の恋愛の話であるというだけで多種多様。そんなわけで、今、ゼロからオススメBLをセレクトするように頼むのは、例えるならば、男子に「なんかおもしろい少年マンガない?」と聞くようなものである……要するに、ものすごく絞りづらいのだ。

それはわかる……わかるが、しかし。

めろん 今回、いろいろと買ったり、ZBLにオススメを借りて読んでみたんだよ。『純情ロマンチカ』なんかはたしかにおもしろかったけど、おれの好みとはちょいズレていたな。いちばんJUNEっぽい装備をくれ。おれが昔好きだったやつを。

金田 なつかしいな……めろんさん、『JUNE』(注2)読んでたの?※JUNE:マガジン・マガジン(創刊時は「サン出版」)が1978年に創刊し、休刊を挟みつつ、96年まで発行していた雑誌。主に女性に向けて、男同士の恋愛や性愛をテーマとする漫画や小説、情報、投稿などを載せていた。1983年創刊の『小説JUNE』(~2004年)は主に小説を扱う。創刊号では『JUN』だったが、第3号から『JUNE』に改題。

『JUNE』創刊号(画像提供:ヤマダトモコさん

※金田淳子豆知識:JUNEの画像をご提供くださったヤマダさんはオールラウンドにマンガに詳しい研究者で、金田淳子がいつもお世話になっているのだ!! ヤマダさんは現在、日本マンガ学会の理事をされているぞ!

めろん けっこう読んでいたよ。主に栗本薫さんの「小説道場」目当てだったけど。

ZBL24 それ、なんですか?

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マンガは読書に入りますか?

海猫沢めろん

作家の海猫沢めろんさんが、谷根千での暮らしを綴るとともに、日々読んだマンガを紹介する月イチ連載。小説の執筆からアイドルの曲の作詞まで、縦横無尽に活躍する海猫沢さんのセレクトは、次に何がとびだすかわからない幅広さ。手に取って読めば、新し...もっと読む

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sugakiti この記事の写真の、美しい野菜と金持ち君の間に挟まれてる漫画がわからなくて悶えています。一番右端の見切れてる二冊もわからないけどこの真ん中のは見たことある気が!するのだけれど!あー!ほもの趣味が近そうなだけに気になる https://t.co/amrqMmYExS 2年弱前 replyretweetfavorite

hirarisa_R あと過去記事だけどめっちゃおもしろいやつをあらためて紹介 |海猫沢めろん https://t.co/TpUdBVSLey 2年弱前 replyretweetfavorite

ayaigoneru めろん先生の『 を読んで、自分がJUNE耽美系ではなく、アニパロきゃっきゃウフフ系であることが分かった。懐かしい。 3年以上前 replyretweetfavorite

xxxigoxxx めろん先生の『 を読んで、自分がJUNE耽美系ではなく、アニパロきゃっきゃウフフ系であることが分かった。懐かしい。 3年以上前 replyretweetfavorite