年の始めの、めでたさと華やかさを、ぜひ美術でも味わっていただきたい。そう考えまして、こちらをご紹介したく存じます。東京両国、国技館の隣に位置する江戸東京博物館で新春2日から開催の「大浮世絵展」です。
タイトルの通り、会場に並んでいるのは浮世絵ばかり。ジャンルが生成した江戸初期の作例から20世紀に制作されたものまで網羅し、しかも各時代ごとに代表的な作品が国内外から集められました。全史が通覧できますし、浮世絵のオールタイムベストがここにあるといっていいくらい。題名に偽り、なしです。
会場に入っていきなり目を惹きつけられるのは、《風俗図屏風(彦根屏風)》です。浮世絵とは浮世、つまり世俗のことを題材に扱う絵というのが元来の意味。この作品ではまさに、17世紀前半当時の風俗が画面に定着されています。描かれているのは遊里、現在でいう歓楽・風俗街の住人である男女です。髪形や着物の柄、その着こなしが少々めずらしいものに思えますが、これが時代の最先端の流行だったのです。
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《風俗図屏風(彦根屏風)》(部分) 寛永期(1624~44年) 彦根城博物館蔵