晩酌歳時記

第四十五回・雑炊

家族の中で酒飲みは私だけ。年末年始、酒は一升瓶で持ち込むか、四合瓶で遠慮しておくか、悩ましい。そんな佐藤和歌子がお届けするショートコラムです。宴会続きで胃腸が荒れ気味、そんな時は朝から雑炊で暖まります。

 懇意にしているご家族のクリスマスディナーにお招きいただきました。大きなクリスマスリースが飾られた玄関扉。一歩中に入った瞬間から暖かい。そしてふわ~っと良い匂いが……! 独り者にはもう、これだけでありがたいです。
 匂いの正体はバーニャカウダ、電気式の保温トレイの上でくつくつと音を立てている。オーブンで素焼きした野菜を載せた、銀のお皿がまぶしい。生野菜が一般的ですが、焼いた方が野菜の旨味が凝縮されるみたい。一口大のパンの上で、ふわふわこんがりしているものの正体を尋ねると、「カニのパフです」。よくわからないけど、たしかにぱふぱふしてておいしいな。チーズとイクラを載せたクラッカーに、フルーツトマトのカプレーゼ、薫製の盛り合わせ……あ、ここまでが前菜ですよ。
 トリュフ塩なるものを使ったというリゾットを口に含むと、後頭部から「シャンシャンシャン」と鈴の音が。魚料理は自家製のバジル胡椒で味付けした鰹のカルパッチョ、肉料理はローズマリー風味の鶏肉のロースト。持ち込んだワインが切れると、「ホットワインならありますよ」。もちろんケーキもいただきました。自慢話ですみません。
 すばらしいのは、トイレに乾いた清潔なタオルがたくさん並んでいること。しかもそれが全部クリスマス柄なのです。ここまで行き届いた家庭はそんなに多くないとは思いますが、家庭っていいなあ、主婦ってすごいなあと、改めて思います。

この続きは有料会員登録をすると
読むことができます。
cakes・note会員の方はここからログイン

1週間無料のお試し購読する

cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。

人気の連載

おすすめ記事

ケイクス

この連載について

初回を読む
晩酌歳時記

佐藤和歌子

季語と晩酌をテーマにしたショートコラム。月四回更新(毎週木曜、第五はお休み)。

この連載の人気記事

関連記事

関連キーワード

コメント

IAmemiya 年内最後の更新です。素晴らしいクリスマスのご馳走からの雑炊!どっちもいいですね。 4年以上前 replyretweetfavorite