シンキロウプロジェクト

第5回 Track01 Ceremony

PHP研究所から、人気ボカロ小説の新作をcakesで配信です!

いよいよ新の面接がスタート! 次々現れる面接官の質問に、新はどう答える?

初音ミクをはじめ、今や70億円を超えるともいわれる「ボーカロイド市場」。一時ネットで話題となった「人気ボカロP(ボーカロイド楽曲の制作者)は企業による捏造だった!?」という陰謀論に着想を得た小説、『シンキロウプロジェクト』の一部を公開します。

 こんこん。
 次に入ってきたのは、キリコさんよりもちょっと年下? くらいの女性だった。え? 特徴? ん—何と言うか。丸っこい人。
「あんたが新くん? よろしくっす、高木でーす」
 人懐っこい雰囲気はある。が何というか、何より印象は「丸」。まん丸い顔に茶色いショートヘア。顔のパーツは個々に見れば整っているのかもしれないけど、巨大な頬の肉が目を圧迫して完全に糸目となっている。
 どすん。高木さんが正面の椅子に勢いよく座った。
「じゃあいくつか質問させて貰うっすねー。楽器は何ができるんだっけ?」
「一応ギターとヴォーカルやってました。そんなに凄いテクニカルな演奏はできないですけど」
「あーいーの、いーの。とりあえず楽器が弾けるのが大事なんだ。じゃーギターは大丈夫ね」
 高木さんは手に持ったバインダーに次々とチェックをつけている。何か駅前でアンケートの人に捕まっちゃったみたいだ。
「作曲はやってたんだっけー? DAW(デジタル・オーディオ・ワークステーション、音楽を制作するためのソフト)は何使ってるの?」
「今はSANOR使ってます。やってたのは生のスリーピースバンドなんですけど、曲作ってみんなに聴かせるときにはドラム打ち込みでデモ作ってました」
「あーそうなんだー。じゃー機材とかの話を聞かれても一応は大丈夫そうだね。んー、まあ十分かな?」
 何が「十分」なのかわからないけど、とりあえずは悪い印象を与えてはいないみたいだ。

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シンキロウプロジェクト

ほぼ日P(ボカロP)

PHP研究所から、人気ボカロ小説の新作をcakesで配信! 病気になりそうなほど眩しい日差しが照りつける真夏のアキバ。静岡から上京した加藤 新(かとう あらた)はある会社の面接試験を受ける。それは「株式会社シムラクラム」が推進す...もっと読む

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