シンキロウプロジェクト

第2回 Track01 Ceremony

PHP研究所から、人気ボカロ小説の新作をcakesで配信です!
ある会社の面接試験を受けにきた新(あらた)。待ち合わせ場所に現れたのは、いかにも「できる女」の伊坂キリコだった。二人は面接会場である株式会社シムラクラムに向かう。

初音ミクをはじめ今や70億円を超えるともいわれる「ボーカロイド市場」。一時ネットで話題となった「人気ボカロP(ボーカロイド楽曲の制作者)は企業による捏造だった!?」という陰謀論に着想を得た小説『シンキロウプロジェクト』を一部公開します。

 大通りを離れると店頭でがなりたてる音楽は少しマシになった。でも街のカオス度はますます増していった。きっと香港の屋台ってこんな感じなんだろうなって思わせるような(もちろん香港には行ったことないけど)、店先に何でもかんでも並べているパソコンショップがあるかと思えば、うっすらと茶色に煤けた古いパソコンが店頭に無造作に積み上げられている店もある。パソコンって精密機械だったはすじゃなかったっけ? なんか聞いたことない名前の牛丼屋もあるし……。
「お昼は食べてきたんでしょ?」
「あ、はい。静岡駅で食べてから来ました。東京まで近いんですよ、意外に」
 牛丼屋なんて視線で追っていたからおなかが空いてると思われたんだろうか。
「そう。そういえば新くん、あれ知ってる?」
 キリコさんはPCショップの店頭モニターを指さした。画面にはCGで描かれた少女が踊っていた。青色の長いツインテールが踊りに合わせて揺れている。他のスピーカーからの音に混じってはっきりとは聞こえないが、四つ打ちのテクノ系ビートに乗っているのは少しのっぺりした機械的な女の子の独特な声。オートチューンか何かのエフェクトがかかっている、ところどころケロケロしている。
「はい。妹が好きでよく聴いてますよ。『神音キク』ですよね?」

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シンキロウプロジェクト

ほぼ日P(ボカロP)

PHP研究所から、人気ボカロ小説の新作をcakesで配信! 病気になりそうなほど眩しい日差しが照りつける真夏のアキバ。静岡から上京した加藤 新(かとう あらた)はある会社の面接試験を受ける。それは「株式会社シムラクラム」が推進す...もっと読む

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