「人にはそれぞれの時間の使い方がある」と学んだ
岡田 気になっているのは、私が何に対して萌えているか、どういうところにグッとくるのかについて、夫はあまり把握していないということですね。セックスがどうこう以前に、私が物事について興奮して熱中する仕組みというか、そこにどういうリビドーが滾っているのかがわかっていない。私も、彼のそれがよくわからない。たとえば「笑いのツボ」が夫婦で似ているのは日々感じていて、それはすごく嬉しいんですけど、人間、他にもツボはあるわけで。
二村 うーん、彼の【萌えポイントの原点】を知りたいと思うのなら、彼の子どもの頃のオナニーの話を聞くしかないというのが僕の持論なんですが……。
岡田 聞くしかない!? ハードル高いな……。恐れていることは、そうやって性癖のようなものを突き詰めていったときに、彼のポイントと私のポイントが見事に一つも重なるところがなくて、その現実を知って夫婦2人で呆然とする、となったらどうしようかと……。
二村 呆然として、途方に暮れている夫婦の姿というのも美しい気がしますけど……。そこに愛があって、愛のある生活が送れているのなら問題ないんじゃないですか。ちなみにオットー氏は岡田さんほどオタクではないんですよね?
岡田 趣味を持つとディープにハマるみたいですが、オタク気質はないですね。
二村 たとえば岡田さんがBLを読んでいる脇で、昭和のウルトラマンとか仮面ライダーとか観てるとか、そういうことでもないんだよね? 俺、よく家で妻も子どもも聞いてないのに一人で人造人間キカイダーの話とかしてるんだけど。
岡田 そういうことでもないですね。私が課外活動でいそがしくしている間は家で海外ドラマとか観たりしてるんですけど。「どの女優がタイプなの?」「一番良かったエピソードは?」って聞いても、「あんまり憶えてない、よくわかんない」とか言うんですよ。もう、完全にリア充ですよ。
二村 リア充なの、それって(笑)。
岡田 リア充ですよ。カラオケで歌うためにCDを買ってるみたいな感じに限りなく近いんです。つまり、時間をつぶすために海外ドラマを観ている。「この、リア充め! あとはジム行ってカフェ行って犬の散歩でもしてろ! ケッ」って感じですよ。「いや、彼には彼の時間の過ごし方があるから、あまり悪し様に言うのはやめよう」と気をつけてますが(笑)。
二村 本当にそうですね。気をつけてください……(笑)。
ハルキストと付き合うのは難しい?
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