現在、カーン・アカデミーやアメリカの著名な大学がこぞって参加している「MOOC」といった、授業のネット配信がおおきな注目を集めています。生徒はネットで勉強し、教室では分からないところだけをフォローしていくスタイルのいわゆる「反転授業」が、これからの授業の在り方として、アメリカでは実践が進みつつあります。
実はこういった試み、日本でも始まっています。そしてその最先端を走るのは学校ではなくて予備校です。この辺りの詳しいお話を聞こうと、今年の初夏に帰国した際に、ネット配信事業を手掛けるベリタス・アカデミー代表、坂木俊信氏にお話を伺いしました。
かつて大手予備校の人気講師として活躍していた坂木氏は、せっかく高いお金を払って予備校に通っている生徒たちがなかなか伸びていかないことに歯がゆい思いを抱いていた、と言います。週1回程度の授業、通学にかかる時間、教室内での貴重な時間を、先生が黒板に字を書くのを待ってノートに書き写すのに時間を費やさざるをえない授業形態。黒板やノート、教室という形態からもっと自由になれないのか……。常々そんなふうに考えていたそうです。