パート4.キャッチャー・イン・ザ・ステーション 枯野透・渡部亜紀穂[12:34]

自殺予告メールがきても、あたしは何もしなかった。薄情な人間だから? それがいちばん当たっているような気がする――とある大晦日、12月31日。高校2年生、徳永準の自殺予告メールがネットに流出しました。友人である笹浦耕は東京のどこかにいる彼を止めようと捜索隊を結成します。そこから始まる15人の24時間の物語。『おすすめ文庫王国2009』でライトノベル部門の堂々1位を獲得した『15×24(イチゴーニイヨン)』シリーズを2巻まで連日更新。読みはじめたら止まれない、ライトノベル史上〈もっとも長い一日〉を味わってみてください。(イラスト:箸井地図)

枯野透[12:34]

 長髪バイク男が、赤ジャケット軍団のリーダーらしい。
 一同の目線の向き具合からして、目的が僕じゃなくてアキホさんだってことは、さすがに寝不足の頭でもわかった。
 これはやばい。かなりやばい状況だ。
 けれど不思議なことに、恐くはなかった。アキホさんを護りきれないかも、っていう不安さえも。もしかしたら単に眠かっただけかもしれないけど。でもいちばん不思議だったのは、そのうえ僕は徳永も見つけられると確信してた、ってところだ。
 まったく理由も根拠もなく、僕は感じていた。なんとかなる。なんとかしてみせる。まるで手品のように、事態は一発で好転する。
 うーん。でも、どうやって?

 と、僕をじいっと睨んでた男が、バイクからおりて、ぼそりと一言。
「何なんだ。おまえは」
 何なんだと言われても、ちょっと困るなあ。
「友だちです」
 とりあえず言ってみた。
 案外にしっくりきた。
 そうか。友だちなんだ。僕とアキホさん。貧乏高校生と白百合のお嬢さま。トクナガくんのおかげで知り合った、まったくの赤の他人。けれど、それが縁ってものだ。昨日の、あの新婚サラリーマンさんと僕みたいに。明日にはどうなるのか、予測もできない。誰と出逢うのか。どんな目に遭うのか。誰を助け、誰に助けられるのか。
 僕たちはみんな、そんなふうにつながっているのかもしれない。
 見えない糸で。
 もしくはメールで。

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15×24(イチゴーニイヨン)link one せめて明日まで、と彼女は言った

新城カズマ

「なんで自殺しちゃいけないの?」とある大晦日、12月31日。高校2年生、徳永準の自殺予告メールがネットに流出しました。友人である笹浦耕は東京のどこかにいる彼を止めようと捜索隊を結成します。そこから始まる15人の24時間の物語。『おすす...もっと読む

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poyon55 この手法どっかで見た 5年弱前 replyretweetfavorite