パート4.キャッチャー・イン・ザ・ステーション 藤堂真澄[05:00−]

自殺予告メールがきても、あたしは何もしなかった。薄情な人間だから? それがいちばん当たっているような気がする――とある大晦日、12月31日。高校2年生、徳永準の自殺予告メールがネットに流出しました。友人である笹浦耕は東京のどこかにいる彼を止めようと捜索隊を結成します。そこから始まる15人の24時間の物語。『おすすめ文庫王国2009』でライトノベル部門の堂々1位を獲得した『15×24(イチゴーニイヨン)』シリーズを2巻まで連日更新。読みはじめたら止まれない、ライトノベル史上〈もっとも長い一日〉を味わってみてください。(イラスト:箸井地図)

藤堂真澄(トウドウ マスミ)[05:00−12:33]

 早朝五時、起床。
 うがい、歯磨き、洗顔、宮城きゅうじょうにむかって三拝。乾布摩擦。庭掃除。
 ここまではいつもどおり。
 五時十五分、門弟一名すっとんでくる。庭の隅に大男ひとり発見、服に血痕あり。近所を騒がす例の空き巣狙いか、と五人がかりで取り押さえた。
 ──まさか、また殴ったんじゃないだろうな。
 ──いや、はあ、まあ、木刀でちょっと。
 頭をかかえる。皆、血の気が多すぎる。道場うちは修養が本分、不良の溜り場でもなければ極道の事務所でもない。いずれ祖父さまから一言叱ってもらわなくては。
 行くと、空き巣狙いにしては道具もなく、といって堅気とは到底見えない。顔をのぞきこむと、ぼそりと一言、
 ──電話を貸してほしい。
 驚くよりも先に、きもの太さに呆れる。
 さて警察に突き出すべきか? 祖父さまをんでくるべきか? いずれを頼ろうとも、
 ──修行が足りん! そんな体たらくで、いざ危急のとき、畏れ多くも陛下の御為おんためにはたらくことができると思うてか!
 と怒鳴られるのは目に見えている。しかたないので、自力で尋問開始。
 ──誰の血だ?

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15×24(イチゴーニイヨン)link one せめて明日まで、と彼女は言った

新城カズマ

「なんで自殺しちゃいけないの?」とある大晦日、12月31日。高校2年生、徳永準の自殺予告メールがネットに流出しました。友人である笹浦耕は東京のどこかにいる彼を止めようと捜索隊を結成します。そこから始まる15人の24時間の物語。『おすす...もっと読む

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