パート2.例のメールが届いてから 三橋翔太[09:42−]

この世から去るのに『完璧な場所』で『最良の方法』を確かめなきゃいけないのに、ぼくのケータイはあの女のところ――とある大晦日、12月31日。高校2年生、徳永準の自殺予告メールがネットに流出しました。友人である笹浦耕は東京のどこかにいる彼を止めようと捜索隊を結成します。そこから始まる15人の24時間の物語。『おすすめ文庫王国2009』でライトノベル部門の堂々1位を獲得した『15×24(イチゴーニイヨン)』シリーズを2巻まで連日更新。読みはじめたら止まれない、ライトノベル史上〈もっとも長い一日〉を味わってみてください。

三橋翔太(ミツハシ ショウタ) [09:42−09:43]

「金を出せ」
 ってゆったら、レジのやろ、ナイフ見て、すんげえ顔あおくなって歯がこんなんしてて、それ見たらこっちもなんかびびったけど、わけわかんねいけど、でもすぐにきもちが落ちつけた。
 おれは悪いやつだ。
 いちおう、てゆうかたぶん。まちがいねい。
 なんでかってそりゃもちろん悪いことばっかやってるからだけど、でもほんとは善い人間かもしんねい。
 なんでかって、そりゃむかしから先公とか親父とかが、おまえはろくでもねいやつだ、悪い人間だ、まっとうな生き方なんかできねいぞ、てすぐどなりやがる、だからおれすげえむかついた、でも先公のやつらはいつもまちがったことばっかゆってるし、ゆってることとやってること逆で、おもてづらばっかよくしててほんとは裏で汚ねえことばっかだ、おれはそおゆうのいろいろ見てたし知ってるので、親父もそおで、だってうちの親父はとにかくひどいやろだった、あのくそやろ、だからやつらのゆってることは嘘ばっかだ。
 とにかくきもちが落ちつけたあとは、わりと楽だった。
 ナイフはまっすぐ出す、あいての目を見る、そのほうがあんがい相手に顔おぼえられねいですむんだよな、これは朝になる前あのへんなケータイで『センパイ』からおそわったやりかたで、でももっと前からやりかただいたい知ってた、人間の目ってのはあんがい集中してると他はなにも見えてねいしな、でも昨日の夜からもう、にっちもさっちもいかなくなって、なんでかってゆうと昨日の夜刺しちまったからなんだ。

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15×24(イチゴーニイヨン)link one せめて明日まで、と彼女は言った

新城カズマ

「なんで自殺しちゃいけないの?」とある大晦日、12月31日。高校2年生、徳永準の自殺予告メールがネットに流出しました。友人である笹浦耕は東京のどこかにいる彼を止めようと捜索隊を結成します。そこから始まる15人の24時間の物語。『おすす...もっと読む

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